待望の新機能導入! ――カクヨムユーザーはコナン・ドイル――

   

 一日遅れの話題になります。

 昨日5月16日の「カクヨムからのお知らせ」に、このような告知がありました。


代表作を手動で設定できるようにしました

https://kakuyomu.jp/info/entry/2022/05/16/145039


 私が気づいたのは夜遅くでしたが、午後3時ごろには出ていた告知のようですね。

 前々から予告されていた機能であり、私自身も、今か今かと待ち望んでいました。すぐに気づかなかったのを後悔してしまうくらいです。


 2022年1月にリニューアルされたプロフィールページにおいて、表示されるようになった代表作。しかし勝手にカクヨム側で★数を基準として決められてしまう仕様でした。

 そもそも作品数の多いユーザーこそ、自分の作品たちの中に埋もれてしまうから「代表作」として目立たせたい作品があるわけですが、作品数が多くなってくると、投稿作品のジャンルや種類も増えてきます。

 ここで問題になるのが、カクヨムでは読まれやすいタイプの作品もあれば、逆にそれほど読まれないタイプの作品もあるということ。例えば私の体感では前者がエッセイや短編、後者が長編になりますが、この「読まれやすい」ばかり書いているならば良いとしても、「それほど読まれない」も書いていて、そちらを代表作にしたい場合。ユーザー自身の意に反して、どうしても「読まれやすい」タイプの作品から代表作が選ばれてしまいます。

 私を例にするならば、カクヨム側の設定では、本エッセイ『カクヨムを使い始めて思うこと』が代表作になっていました。確かにエッセイも読んでいただけるのは嬉しいですが、私としては、他に自分で推したい長編小説もあるわけで……。


 このように「自分の意図と違う!」という代表作が設定されて、面白がったり不満に感じたりしたユーザーは私だけではなく、リニューアル当時、それについて言及する近況ノートやエッセイなどがいくつも見られました。

 カクヨムに「これは困る! 改善して欲しい」と要望を送った方々も多かったようで、その後カクヨムから「代表作は各自で設定できるようにします」と告知されていました。

 そのような経緯だったので、今回の機能は「待望の新機能導入!」なわけです。



 私も早速、代表作の設定を行いました。そして「おお、これは凄い!」と嬉しい驚きが一つ。

 今回の「カクヨムからのお知らせ」が、とてもわかりやすい書き方になっているのです!

 ほら、WEB関連に限らず一般家電でも、お年寄りは説明書を読まないとか手引書を読めないとか言われる場合がありますよね。私も新しく登録した小説投稿サイトでマニュアルを読んでもよくわからず、困惑することが増えてきました。「〇〇をクリックしてください」「〇〇から設定してください」「〇〇は〇〇にあります」などと言われても、その「〇〇」を探しにくかったりするのです。

 その点、今回の「カクヨムからのお知らせ」は素晴らしい。『アカウント設定の公開プロフィール設定で設定いただけます』と記述して「代表作の設定」を画像表示するだけでなく、「『公開プロフィール』ページの中で、下の方にスクロールしていき『代表作の設定』を探して設定する」という様子を、動きのある映像で示してくれているのです。

 初めて見た瞬間「何これ? 動画の埋め込み?」と思ってしまいました。その部分だけ別ウィンドウで表示させてみるとURLの末尾が「.gif」となっているので、なるほど、GIFアニメというやつですね。

 これは本当にわかりやすい! それこそこのエッセイでも序盤で書いたように「〇〇のページにあります」と言われても、そのページを開けた瞬間に見えないと「ないよ?」と思ってしまう場合があるのですよね。その点「ほら、こうやってスクロールしていけばありますよ」と動画みたいに示してもらえれば大丈夫。

 いやあ、便利な世の中になりましたね!

 少し本題とは違う点で、私は妙に感激してしまいました。



 そして本題に戻ると……。

 これで代表作をユーザー自身で設定できるようになりました。

 欲を言えば「固定されたコレクション」を4つ選べるコレクション機能みたいに、1つではなく2つか3つ代表作を選べたら良いですが、さすがにそこまで望むのは贅沢でしょうね。私が登録している他の小説投稿サイトでも、代表作を表示できる機能はあっても、どこも代表作は1つのみだったはず。


 とりあえず今まで、自分で代表作が設定できるようになるまでの対処法として、私は代表作をコレクションにして、固定コレクションのトップに表示していました。イチオシ作品が2つあるので、それをコレクションにまとめていたのです。

 ついでに作品リストも同じコレクションに入れて「代表作および作品リスト」という3作品のコレクションにしていました。

 この「作品リスト」は元々コレクション機能がなかった頃、作品をシリーズごとにまとめるために用意したものです。ただ分類するだけでなく、投稿作品それぞれに関して執筆日、投稿日、発想の経緯などを記しており、そうなるとコレクションの紹介欄には書き切れないので、結局コレクション機能の導入後も続けています。

 投稿作品が増えるたびに書き加えていますが、ページ内で書き加えだけであり、新しくページを加える場合も途中に挟む形。それでは「更新」扱いにならないので、いつも下の方に埋もれています。だから少し目立たせる意味で「代表作および作品リスト」というコレクションに入れていました。


 今回、代表作を設定できるようになった時点で、この「代表作および作品リスト」コレクションの一番の役割は終わったわけですが……。

 私のイチオシ作品は2つあるけれど、代表作機能で表示できるのは片方だけであること。「代表作および作品リスト」がなくなれば、「作品リスト」は埋もれてしまうこと。

 この2点を理由として、「代表作および作品リスト」コレクションは残すことにしました。

「代表作および作品リスト」は代表作を設定できなかった頃の名残りであり、「作品リスト」はコレクション機能がなかった頃の名残り。ならば「代表作および作品リスト」の中に「作品リスト」があるのは二重の『名残り』であり、何だか面白く感じます。



 機能云々に関してはこれで終わりですが、今回の「カクヨムからのお知らせ」を読んでいて、私が興味深く感じた点がもう一つ。

 少し長くなりますが引用してみます。


>自動の設定では、読者からもっとも評価されていると考えられる累計★数の多い作品を表示しています。カクヨムとしては、コナン・ドイルにおける『シャーロック・ホームズ』シリーズのようなものを表示する場になればと考えております。

>リニューアル後に皆様からの様々なご要望をいただき、★数では代表作を十分に表現できないケースに対応できるよう、本機能を開発いたしました。


 こんなところでシャーロック・ホームズが引き合いに出されるとは思いませんでした。

 ちょうど開催中の「5分で読書」短編小説コンテスト2022でも、2つあるテーマのうち片方は「5分で解決探偵、あらわる(ミステリー)」。ちょっとしたミステリ小説ブームでしょうか。

 それこそ、シャーロック・ホームズが「手にタコが」とか「靴についた土が」とか些細な点から依頼人の素性などを当てる場面なんて、5分以内の謎解きです。しかも平和な日常的な謎ですから、学校の朝読向けの「5分で読書」にはピッタリでしょうね。

 私がシャーロック・ホームズを読んだのは小学生の時でした。ただし子供向けに書き直されたものであり、一般用のを読んだのは中学高校時代、海外ミステリを読み漁った中の一環でした。

 どちらにせよ昔々であり、まだインターネットなんてなかった時代です。だからどこから情報を得たのか自分でも不思議ですが「コナン・ドイルが本当に書きたかったのは『シャーロック・ホームズ』シリーズではない」というのは知っていました。文庫本巻末の宣伝欄などにはコナン・ドイルのSFシリーズも載っていましたから「これが『コナン・ドイルが本当に書きたかった』小説なのかな?」と思っていました。

 コナン・ドイルがミステリやSFだけでなく歴史小説も書いていたと知ったのは大人になってからですが、いずれにせよ、情報に疎かった頃に聞いた「コナン・ドイルが本当に書きたかったのは『シャーロック・ホームズ』シリーズではない」という点だけは間違いなかったようです。

 おそらく有名な話なのでしょう。

 だとしたら……。


 ユーザー自身が「それは私の代表作ではない!」と思いながら、これまでカクヨムが勝手に設定してしまった代表作。★数に基づいている以上、各ユーザーの一番の人気作品であることは事実なわけで、「一番の人気作品」と「ユーザー自身が代表作にしたい作品」が一致しないのはコナン・ドイルと同じ。

 なるほど「カクヨムとしては、コナン・ドイルにおける『シャーロック・ホームズ』シリーズのようなもの」であり、その意味では、カクヨムユーザーはコナンドイルなのだと感じました。

   

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る