KAC2021 私にとっては難しい5回目お題、みんなにとっても難しい6回目お題
先週と同じく、土曜日になってしまいましたが、水曜日と金曜日の話。KAC2021のお題、5回目と6回目についてです。
まずは水曜日、5回目のお題は「スマホ」でした。
スマホといえば、誰でも使っている身近なアイテムです。それに因んだ経験談はいくらでもあるでしょうし、そこから妄想したこともたくさんあるでしょう。その意味では、書きやすいお題だろうと思うのですが……。
私には難しい! なにしろ、私はスマホを使ったことがないので!
一応PCにはスマホアプリを入れてあり、カクヨムの作品などの表示がスマホではどう見えるのか、というのを確認できます。でも、その程度です。そのスマホアプリでログインする時も苦労しましたし、あの独特の文字入力は、年寄りの私にはついていけません。
それくらい縁遠いものなので、スマホをネタにした小説、考えるだけでも難しくて……。
私自身がスマホに詳しくない以上、主人公もそういう設定にするしかありません。迂闊にスマホ慣れした主人公を出してしまうと、私の無知ゆえに不自然な記述になりそうですからね。
最初に頭に浮かんだのは「昔の人間がいきなりスマホのある時代に来てしまって困る」というSF設定でした。でも、そう思いついた時点で「SFならば、逆に未来設定で良いではないか! 現在のスマホとは違う未来のスマホを出せるから、スマホに詳しくなくても書ける!」という発想になり、こんな作品が出来上がりました。
『23世紀のスマホ』
https://kakuyomu.jp/works/16816452219158149831
投稿したのは午後1時半頃。お題を見た後、考えながら食事するだけで30分くらいかかっていますから、執筆そのものは1時間くらいでしょうか。個人的には難しいお題でしたが、思ったよりは短時間で書けたようです。
続いて、金曜日。
先週の時点で「金曜日は難しいお題になる」という予想が、あちこちで出回っていました。
金曜日は『数値指標にかかわらず、担当が最もオススメしたい1作品』というカクヨム賞や『数値指標にかかわらず、担当が最もオススメしたい本文付きレビューを書いた1レビュアー』というカクヨムレビュー賞があるボーナス回。だから他よりも高いレベルが要求されるのではないか、という理由だったり、そもそも応募締切までの日数が月曜日や水曜日と比べて1日長いので、難しくても大丈夫と思われているのではないか、という考察だったりです。
実際、今週の金曜日、6回目のお題は「私と読者と仲間たち」。『私』『読者』『仲間たち』の三つを入れないといけないのですから、難しいですよね。
このお題を見た瞬間に私が思ったのは「これも以前に書いたようなテーマだなあ」ということ。『読者』や『仲間たち』もあるので、素直に考えれば『私』は書き手になりそうですが、素人作家を主人公にした短編ならば、今までにいくつも書いています。それこそ、自分の経験を踏まえたものから、全くの妄想で書いたものまで色々です。
作品数が多過ぎて、忘れているものもありそうですが、以下の数作品が「私が今までに書いた、素人作家を主人公にした短編」でしょうか。
『ハッピーエンドは嫌いだから』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889629877
『WEB作家の隠しごと』
https://kakuyomu.jp/works/1177354055108229547
『「あたしスターさん。今あなたのところに来たわ」』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893861895
『「俺の素人作家としてのファイナルブレーキが!」――ある素人作家の恐怖体験――』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889592011
『ブロック機能 ――ある素人作家の恐怖体験――』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889956704
自分の既存の短編と似たものを改めて書いても面白くないので、そのような「『私』イコール書き手」は避けよう、と考えました。では何を『私』にしたらいいのか、というのを発想のスタートにして、形になったのが以下の二つの作品です。
『これを読めばあなたも私の仲間になる』
https://kakuyomu.jp/works/16816452219193489867
『読者がいるから仲間がいるから』
https://kakuyomu.jp/works/16816452219200273672
前者は、5回目のお題と同じく構想30分、執筆1時間。でも、そこで緊急の用事が入ったので、そちらを済ませてから、一応一回だけ推敲して、投稿したのは午後2時過ぎでした。
後者は、夜、風呂を出てから執筆・投稿。実は前者を考えた時のボツ案でした。「ほのぼの路線は、私には上手く書けない」と思って一度はボツにしたのですが、先週金曜日は2作品投稿したので今週も複数投稿しようと思って、結局、書いてしまいました。
ある意味、前者の『これを読めばあなたも私の仲間になる』は、後者の『読者がいるから仲間がいるから』を廃棄したからこそ、思いついた作品です。だから両方読み比べていただければ「なるほど、『読者がいるから仲間がいるから』みたいな話を考えていたからこそ、『これを読めばあなたも私の仲間になる』みたいな物語が出てきたのだな」と、発想の背景まで浮き彫りになるかもしれません。
ボツ案としては、他にも2つほど考えました。
まず『仲間』というのを戦いの仲間と考えて、本を巡るバトルもの。本が禁止されたSF世界において、大切な『読者』のために『仲間』と一緒に戦う『私』が主人公です。
商業作品でいえば『図書館戦争』とか『キノの旅』の一編「本の国」みたいな感じでしょうか?
でも、そうした設定だけしか思いつかず、肝心の物語が出てこなかったのでボツ。
もうひとつは、ひとつめから「本に対する弾圧」という要素だけ引っ張ってきて、執筆を弾圧された漫画家の物語。基本は『漫画家』が語り手です。
上からの規制で断筆を余儀なくされた漫画家が、アンダーグラウンドで作品発表を続ける。でも逮捕されてしまい「俺は読者や仲間のために頑張ってきたんだ!」と訴える……。そんなストーリーを考えました。
物語のスタートは、過去の弾圧の例示。中国の焚書の話から始まって「それほど昔ではなく外国でもなく、日本でも数十年前に弾圧はあった」ということで、戦争中の話を述べます。
私自身が子供の頃に、横溝正史の随筆で読んだ記憶があるのですが(Wikipediaにも書かれているので、おそらく本当の話だと思いますが)、戦時中は探偵小説の発表自体が制限されていたのですね。だから横溝正史は当時、探偵小説が書けない鬱憤の矛先として、捕物帳シリーズに力を入れていたそうです。横溝正史の捕物帳って、海外ミステリの翻案小説みたいな話もありますよね。
少し話がそれましたが、KAC2021用の短編小説にするのであれば『横溝正史』という名前は出しません。現実の作家名を出すことには抵抗があり、例えば「有名な推理作家。だれでも名前を知っている、というレベルではないかもしれないが、むしろ彼の創造した名探偵の名前は誰でも知っているだろう。その孫を主人公にした漫画も大ヒットしたくらいだ」という説明にするつもりでした。
実は、この説明の仕方も一種の伏線。横溝正史とは無関係な者が、彼の創造したキャラクターの名前を使った、という点です。
物語のラストで、主人公の正体が明かされます。自称『漫画家』に過ぎず、実際には同人ゴロだった、という話です。権利のない二次創作で荒稼ぎしていた主人公が、著作権法が厳しくなって逮捕されただけ、というオチです。
だから最後は主人公一人称ではなく、取り調べの刑事たちだったり、主人公の訴えを聞いた世間の人々だったりを描いて「あいつは『読者』とか『仲間』とか、ご大層な言葉を口にしていたけれど、それは原作に対する『読者』『仲間』であって、あいつの作品自体のファンじゃないよなあ」みたいなセリフで締め括る。
……そんな構想でした。
でも、このラストの見せ方が少し難しいかな、と思いました。それに、小説家ではなくても、漫画家も書き手の一種。今回は「『私』イコール書き手」は避けよう、というポリシーにも反します。
だから、ここまで考えておきながらボツにしました。
でもボツにしたとはいえ、こういうのは、考えるだけでも楽しいですよね。KAC2021イベント、2週目まで終わりましたが、私は全力で楽しんでいます!
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