ようこそジャパリパークへ

「行くぞ、ルイス」

<<おう!>>


 ジープにルイスを乗せ、ラボへ向かう。

制服はサイズピッタリで、しっぽも快適だ。

5分ほど走るとラボに着いた。


「おはようございます。応接室でお待ちください」


 受付に案内され、応接室に入る。

壁に飾られたフレンズ達の写真を眺めていると、トワ園長とミライさんがやってきた。


「すみません、お待たせしました」

「キョウさん、制服の着心地はいかがですか?しっぽは痛くないですか?」

「いえ、大丈夫です」


 よかった、とミライさんはほっとしたように言う。


「それでは、まずはお二人とも、本日から正式なジャパリパークの職員となります。大変なことはたくさんあると思いますが、どうかよろしくお願いします」


 園長が頭を下げた。

こちらもお辞儀をして答える。


「では早速初仕事なんですが、今日は職員の皆さんに集まってもらったので、挨拶をお願いします」

「わかりました」

「さあ、こちらへどうぞ!」


 ミライさんに案内され、ラボの横にある広場に出る。

そこには年齢も性別も様々、服装も白衣の研究員や作業着の人、ミライさんのような探検服を着た人まで、たくさんの人が集まっていた。

それに加え、フレンズ達もちらほらと混じっている。

こちらに気づいて手を振るサーバルとカラカルや、ピンクの髪が目立つ女性職員に寄り添うキタキツネなど、見知った顔もあった。


<<おお、緊張してきたな>>

「ふふ、どうしてもセントラルに来られなかった方もいるので、これでもまだ一部なんですよ」

<<ワオ、マジすか>>

「緊張しないでください、というのも難しいとは思いますが、自然体で挨拶していただければ大丈夫です。このパークの職員達もなかなか個性的なので…それでは、行きましょう」

「了解」


 園長に続いて、広場に用意されたいわゆる朝礼台に上がる。

ガヤガヤとしていた職員達が静まる。


「皆さん、おはようございます」

「「「おはようございます!」」」


 明るく元気な挨拶が返ってくる。


「本日から、ジャパリフォースのキョウさんとルイスさんが、保安維持チームとして我々の仲間に加わります。お二人には主にセルリアンへの対応を行っていただきますので、皆さんと一緒に動く機会も多いかと思います。ではキョウさんから、皆さんへ挨拶をお願いします」


 園長からマイクを受け取る。

なんだかパークに来て最初にした自己紹介を思い出すな。

呼吸を整え、前に出る。


「おはようございます。オレはキョウ、この耳としっぽはコヨミという、オレの友達のものです。これから保安維持チームとして、一緒に働かせていただきます。セルリアンが現れたら、オレを呼んでください。パッカーンとやっつけてみせます。パークについては、というかまだ自分のことについてもわからないことだらけなので、先輩である皆さんに色々教えていただけたら幸いです。よろしくお願いします」


 お辞儀をして、一歩下がる。

たくさんの拍手が送られてきた。


「ふう」

「バッチリでした。ルイスさんもこんな感じでお願いしますね!」

<<オッケー>>


 ルイスにマイクを渡し、交代。


<<オハヨウゴザイマス!俺はルイス、仕事はメカニック兼ドライバー兼パイロット。キョウと違ってセルリアンとドンパチ戦う訳じゃないが、機械の修理や乗り物の運転は任せてくれ。調子の悪い家電の修理なんかもやってるから、気軽に声をかけてくれよな!>>


 ルイスも拍手をもらって戻ってきた。

再び園長が前に出る。


「お二人とも、ありがとうございました。皆さんも、彼らが困っている時は助けになってあげてください。それでは今日も一日、頑張っていきましょう!」

「「「おおー!」」」


 職員達は自分の持ち場に戻っていった。


「キョウ!ルイス!」


 サーバルがやってくる。


「さっきの挨拶、良かったよ!」

「ありがとう」

<<いやー緊張したぜ>>

「そうは見えなかったわよ?」


 今回は一発合格。


「うふふー、サーバルさんは今日もかわいいですねー!」

「み、ミライさんは今日もミライさんだね」

「ミライさん、これからの予定を…」

「はっ、そうでした」


 園長の言葉で、ミライさんが我に返る。


「本日は初日ということで、キョウさんは私達と一緒にセントラル周辺のパトロールに行きましょう。ルイスさんはラボの開発室で、ラッキービーストの通信機能の調整を行ってください。コノハちゃん博士とミミちゃん助手が手伝ってくださるそうなので、頑張ってくださいね!」

「まって、ミライさん!アレやろ、アレ!」

「アレね。最初だものね」

「そうですね!やりましょうか!」


 サーバル達が前に立ち、息を合わせる。


「「「ようこそ、ジャパリパークへ!」」」


 ビシッと決まったポーズと笑顔。


「それじゃあキョウ…じゃなくて、ボス!パトロールに行こう!」

「ふふふ、いいじゃない。ボス!」

「まだ慣れなくて気恥ずかしいな…」

「そうですか?私もいいと思いますよ?」

<<そうだぜ、ボス。じゃ、ミライさん、うちのボスを頼むぜ>>

「はい!お任せください!」


 

 こうして新米のボスとして、ジャパリパークでの仕事が始まった。

いずれは、ボスの肩書が似合うようになれるのだろうか。

いや、そうなれるように頑張ろう。

そして、あの山で待っているセーバルを助け出すのだ。

待っていてくれ、セーバル。

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【完結済】けものフレンズ ~僕と似た君へ~ あおくないとり @Owl-1

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