サバンナエリア突入_5
バスの方に戻ると、アリサがサーベルタイガーの手当てを行っていた。
「ちょっと触るわよ」
「うん……いたたっ」
「軽い打撲ね。冷やして、安静にしましょう」
「すぐ治るかな?」
「うーん、すぐには治らないわね。しばらく安静にしないと」
「ええ!?そんな…私はみんなを守らなきゃいけないのに……」
サーベルタイガーは悔しそうな顔をする。
「ふむ、ヒトの治療は時間がかかるのじゃなあ。どれ、見せてみよ」
後部のシートから観察していたスザクがやってきて、サーベルタイガーの腕を診る。
「この程度、かすり傷ではないか。ちょっと力を込めれば…」
スザクが患部に手をかざし、淡い光を放った。
「この通りよ!ほれ、触ってみよ」
「…もう痛くない!?ありがとう、スザク様!」
「ふふん、これくらい造作もなきことよ!崇めてよいぞ!」
スザクがどや顔で言う。
「すごーい!神様っぽい!」
サーバルの一言で、スザクがどや顔がピキっと引きつった。
「サーバルよ、ぽいではないのじゃ。正真正銘神様なのじゃ!相変わらず無礼なやつじゃな!そこに正座じゃ!お説教の時間じゃ!」
「ひええ、ごめんなさぁい!!」
サーバルが正座させられ、お説教が始まった。
神様っぽくないなどと口に出さなくて良かった…
「流石は守護けものね…私の立場がなくなっちゃうわ」
「今回は特別じゃ。造作もなきことじゃが、そう何度も力を使えば結界に支障が出るのでな。次からはお主が治療するのだぞ!まあ、そもそもケガをしないことに越したことはないがの!」
「わかったわ」
それだけ言うと、スザクはお説教に戻った。
「サーベルタイガー、大丈夫そうか?」
「うん、隊長。もう大丈夫」
「よし、進軍を再開するぞ!ルイス!出発だ!キョウは見張りを頼む。アリサとリョウはハンヴィーでついてくるんだ」
「了解!」
屋根に上がり、周囲を見渡す。
バスが走り出してすぐ、博士と助手も上がってきた。
「お、手伝ってくれるのか?」
「まあ、バスの中だとスザクのお説教に巻き込まれそうなので」
「こっちに避難です。ついでに手伝ってやるですよ」
3人で全ての方向を警戒し、少数ならその場で倒し、数が多ければルイスに伝えて停車し撃破を繰り返して進んでいく。
途中でミツクビクロガウのような大型セルリアンにも遭遇したが、2台のハンヴィーのマシンガンが簡単に倒してしまう。
やはりそれよりも、素早くそれなりの数で攻めてくるハンターセルの方が厄介だった。
「ハンターセルが増えてきましたね。まったく、面倒な奴らです」
「2人のおかげで早く発見できて助かるよ」
「あとでしっかりたんまりお礼をもらうですよ」
「有料サービスだったか。まあ何か考えておくよ」
まだ冗談を言う余裕はある。
そして余裕のある内に、ゲートまでたどり着くことができた。
もう日が傾いてきている。これからジャングルエリアを進むのは無理だろう。
「よし、今日はここまでだ!ゲートの前で休んで、明日の早朝に出発とする!」
ゲートの前は舗装されており、見通しも良いのでテントを張るには丁度いい。
十分に警戒しながら簡易結界の柱を立て、テントを組み立てていく。
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