サバンナエリア突入_1

 ヘリが島に接近する。

その音を聞きつけたのか、岸には多数のセルリアンが集まってきていた。


<<キョウ!奴ら、大勢でお出迎えに来たぜ!>>

「任せろ。みんな、耳栓をしてくれ」

「わかったわ!ほら、2人とも。これをつけなさい」


 カラカルがサーバルとセーバルに耳栓を渡し、耳に付けた後にけもの耳を手で押さえる。


「こっちは準備できたぞ」

<<よし、頼むぞ!>>


 ルイスがヘリを90°旋回させ、セルリアンの大群をミニガンの射角内に収めた。


<<どうだ?>>

「完璧だ」

<<よっしゃ、ぶっ放せ!>>

「了解!」


 ミニガンの6本の銃身が回転し、火を噴く。

最速で毎秒100発近い弾が発射されるため、ヴオオオオオオ…という唸るような銃声。

右から左へ。左から右へ。薙ぎ払うようにミニガンを動かす。

無数の弾丸はセルリアンもろとも地面を抉り、土煙が上がる。

風がそれらを吹き飛ばした後には、セルリアンが倒された時に残るキラキラとしたサンドスターの光と、かろうじて生き延びた僅かなセルリアンだけが残っていた。


「ミニガンの弾が切れた!残りは降りて倒す!」

<<これだけやれば十分だろ!着陸するから少し待て!>>


 ルイスが素早くヘリを着陸させる。


<<よし、行け!ローターに気を付けろよ!>>

「わかった!みんな、降りるぞ!」

「おっけー!残りはまかせて!」

<<すぐ戻って来るからな!>>


 ヘリから飛び降りると、すぐにルイスが揚陸艇へと引き返していく。


「サーバル!もう耳栓外していいぞ!」

「わかった!ワタシ達はあのセルリアンをやっつけるね!」

「キョウはあっちのを頼める?」

「問題ない。油断するなよ!」

「うん、大丈夫。セーバル達にまかせて」


 3人は左方向のセルリアンに向かって駆けだした。

オレは右から来るセルリアンを狙い、ライフルを構える。

小型のセルリアンが3体。一番近いセルリアンに照準を合わせ、引き金を引く。


「!?」


 オレの体格にばっちり合わせてあるおかげか、驚くほど反動が軽く感じる。

セルリアンはど真ん中に鉛弾を受け、砕け散った。

素早く次のセルリアンに照準を合わせ、撃つ。命中。

反動が少ないので、すぐに次が撃てる。命中。


 3体のセルリアンがあっという間に消えた。

以前のKM-23ではまだ2体目を倒したくらいだろう。

博士と助手はとんでもないものを作ってくれたな…


「キョウ!こっちは倒したよ!そっちは?」

「こっちも終わった。周囲を警戒してくれ。まだ来るかもしれない」

「わかったわ。でも、なーんか嫌な感じね、これ」


 カラカルがぶるぶると頭を振る。

まるで火山灰のように、黒い粒が降ってきているのだ。


「これがセルリウムってやつなのか?」

「んー、たぶんそうだと思う。これくらいじゃあんまり害はないみたいだけど」


 手で降ってくる粒を取ってみるが、ほんの少しべたつくような気がするだけで、すぐになくなってしまう。


<<第1便、持ってきたぜ!>>


 ルイスが装甲バスを降ろし、戻っていく。

バスのドアが開き、バリー達が出てきた。


「もう終わってしまったか?」

「ああ。だがまだ安心はできないな。警戒を頼むよ」

「心得た。アードウルフ、行こう」

「はいっ」


 これだけのフレンズがいれば、輸送は大丈夫そうだ。


「キョウ、ライフルは使ってみましたか?」


 最後に博士と助手が降りてきた。スザクも一緒だ。


「ああ、さっき試してみたよ。すごく使いやすくて驚いたよ」

「我々が改造したのですから、当然です」


 博士と助手のドヤ顔も見慣れてきたな。


「ほうほう、これが『らいふる』というものか。さっきの『へり』といい、面白いものを作るのう…」


 スザクがライフルを興味深そうに眺める。


「スザク様?」

「スザクでよい。様をつけられるとな…なんか遠いじゃろ。それより、我に使い方を見せるのじゃ!」

「うーん、セルリアンはさっき倒してしまったからなぁ」


 丁度接近してきたセルリアンがいたが、一瞬でバリーに粉砕されてしまった。


「ふむ、ではこれでどうじゃ」


 スザクが手をかざすと、少し離れたところに火柱が上がり、炎の中から赤いセルリアンのようなものが出てきた。


「セルリアンを模したものじゃ!ほれほれ、早うあれを倒してみせよ!」


 守護けもの、そんなこともできるのか…

スザクの期待に満ちた視線が痛い。


「わかった」

「うむ!」


 ライフルを構え、赤い偽セルリアンを撃つ。

偽セルリアンは風船のように弾けた。


「おおお!すごいのう!すごいのう!」


 スザクは目をキラキラと輝かせた。

…なんか最初のイメージと違うな?

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