検査_2
部屋で荷物を整理し、まずは売店へ向かう。
博士の言うジャパまんのセットを買いに来たのだ。
「ふぁ…は!?い、いらっしゃいませ!」
店番をしているスタッフの女性が慌てた様子で挨拶をした。
まだ初日の朝で、暇なのだろう。
「ジャパまんのセットはありますかね?」
「ありますよ!この中からお選びください!」
スタッフはカタログを取り出し、ジャパまん関係のページを開く。
全種類セットから、甘い味のみを集めたセット、カレー味やピザ風などの料理系のセットなど、たくさんの種類があり、それを2個ずつや3個ずつにもできるようだ。
「じゃあ、この基本セットの3個ずつを1つください」
「かしこまりました!」
「あ、1個ずつの基本セットをもう1つお願いします」
これはルイスの分だ。
「お待たせしました!はい、どうぞ!パークをお楽しんでいってくださいね!」
ジャパまんの箱が入った紙袋を受け取り、ロビーへ向かう。
時計を見ると、丁度いい時間だ。
「キョウ、お待たせ!」
ロビーに着いてすぐにセーバル達がやってきた。バリーとホワイトタイガー、ブラックジャガーも一緒だ。
「キョウ、おはよう」
「ああ、おはよう」
「………」
バリー達が挨拶をするが、ブラックジャガーの表情が暗い。
「ブラックジャガー、大丈夫か?具合でも悪いのか?」
「ん!?だ、大丈夫だ!何の問題もないぞ!?今日も良い一撃日和だなッ!?」
ブラックジャガーがわかりやすい慌て方をする。一撃日和ってなんだ?
「もしや検査が怖いのですか?」
後からやってきた博士がグサリと言う。
「そそっ、そんな訳あるか!お、オレはブラックジャガーだぞ!」
「注射もあるかもですねぇ」
「ちゅッ!?うう…」
ミミちゃん助手の追い打ちに、ブラックジャガーはうなだれてしまう。
<<まあまあ、きっとすぐ終わるさ。さ、行こうぜ?>>
「そうだな…」
ルイスの励ましに消え入りそうな声でブラックジャガーが同意し、セーバルの先導でラボへと歩いていく。
「ブラックジャガー、ラボのヒトは注射上手いから大丈夫だよ」
「そ、そうなのか…?」
「うん。わたし、カコ博士のお手伝いで注射することもあるけど、あんまり痛くないし、ご褒美もくれるんだ」
「ほう、セーバル何をもらっているのですか?」
「わたしはね、カコ博士にお願いを1つ聞いてもらってるよ」
「「ほうほう」」
博士と助手がスピードアップする。
「毎回1つ、お料理を教えてもらってるの」
「「ほう…」」
博士達がスピードダウン。
「まあ、セーバルらしいですね」
「我々ならあんなことやこんなことを…」
絶対私利私欲に満ち溢れたことを考えてるんだろうな…
そんな雑談をしながら歩いていく。
「到着だな」
いかにも研究所という外見の、巨大な白い建物だ。
自動ドアが開き、中へ入る。
「ようこそ、キョウさんとバーバリライオンさん、ブラックジャガーさんとホワイトタイガーさん、あとセーバルさんですね。検査の準備はできていますので、こちらへどうぞ」
受付の女性が案内してくれるようだ。
「我々はあの部屋にいるです。暇になったら来るですよ」
「わかった」
<<じゃあ、みんな頑張れよー>>
博士達は奥の部屋へ入って行き、検査組も受付さんの案内で進んでいく。
さすがラボ、白衣を着た人が行き交っている。
ジーンズとシャツの場違い感がすごいが、まあ仕方ない。
「こちらです。どうぞ」
案内された部屋へ入ると、見覚えのある人が待っていた。
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