ジャングルエリア_19

 ルイスがテントを積んだオオイヌを呼び集めている間に、バスの貨物室から大型テントを出す。

日が落ちて薄暗くなり始めたが、ルイスがバスのライトをつけたので問題なさそうだ。


「あの辺に設置しよう。サーバル達はそっちを持ってくれ」

「はーい!」


 サーバル達に手伝ってもらい、広い場所にテントを置く。


「ルイス、そっちはどうだ?」

<<あー、あとはリョウとアリサのテントを出せば終了だ>>

「手伝うか?」

<<いや、大丈夫だ。大型テントの方を張ってくれ>>

「了解」


 2回目ともなると、手際よく作業が進む。


「キョウ、こっちは準備できたよ」

「わかった、じゃあ引っ張ってくれ」

「よいしょー!」


 前回よりかなり早くテントを張り終えた。


「ふぅ…完成ですね」

「お疲れさま。皆は中で休んでていいぞ。オレはルイスの方を見てくる。寝袋とかも持ってこないとな」

「私たちも一緒に行くわ」

「うん。キョウ、無理しちゃダメだよ」

「そうだな。じゃあ、サーバル達にはバスの中にある備品をテントまで運んでもらおうかな」

「まかせて!」


 貨物室の奥に入っていた備品をサーバル達に渡し、ルイスのところへ行く。


<<お、早かったな。こっちももう終わるぜ>>

「なんだ、手伝いはいらなかったか。じゃあ、隊長に報告だな。サーバル達を呼んで来る。先に行っててくれ」

<<あいよ>>


 サーバル達を呼び、隊長のところへ戻る。


「テントの設営、ご苦労だった。明日は早朝にここを出発し、サバンナエリアを抜けて船のところまで戻る予定だ。ちゃんと早起きするんだぞ?」

「はーい!」

「うむ、サーバル、いい返事だな。それと、キョウ達が張った大型テントだが、フレンズの皆は自由に使って構わないぞ」

「私はテントを使わせてもらおうかな。サバンナの時は休憩所で寝たが、テントも少し気になっていたんだ…」

「私は遠慮しておくわ」

「えー、トラも一緒に寝ようよー」

「私は広いところでのびのび寝たいの!それにライオンが持ってきたクッションも使ってみたいしね」

「寝心地は私が保証するよ」


 ライオンが親指を立てる。


「ちぇー、残念」


 結局サーバル達4人とバリー、そして博士と助手がテントを使い、他のフレンズは休憩所で寝ることになった。



「キョウ!みんなでトランプやろう!トランプ!」


 テントに入るなり、サーバルがトランプを取り出す。


「ちょっとだけだぞ?」

「トランプか、面白い」

「ほう、我々と勝負するですか」

「手加減しないですよ」


 バリーと博士達まで巻き込んで、トランプ勝負が始まったのだが…


「ぐぬぬぅぅぅ…どうして」


 サーバルはボロボロに負けていた。


「どうして…どうして勝てないの!?」

「サーバルちゃん…」

「サーバル、もう諦めなさい。あなたは勝てないわ」

「嫌だよ!ワタシは諦めないんだから!」

「無駄なのです。何度やっても同じことです」

「サーバル、お前には致命的な弱点があるのです」

「あ、セーバル、あがり。あとはキョウとサーバルの一騎打ちだよ」

「キョウがジョーカーを引けばワタシの勝ち…」

「サーバル、勝ちではないぞ」

「さあ、キョウ!勝負だよ!」


 一番に上がったバリーのツッコミをスルーし、サーバルが力強く2枚のカードを差し出すが、躊躇なく1枚選び取る。


「ぐにゃあああ!?なんで?どうして!?確率は二分の一なのに!」

「キョウ、サーバルに教えてやるです」

「サーバル、表情で丸わかりなんだ」

「そ、そんな…」

「トランプで勝ちたいなら、我々やバリーのようなポーカーフェイスを身に着けるですよ」

「くっ、今回は負けを認めるよ…でもいつかぽーかーふぇいすをマスターして、次は絶対に勝ってみせるよ!」

「サーバル、ポーカーフェイスの練習なら後でいくらでも付き合うわよ!」

「ホント!?カラカルありがとー!」


 すごく悪い顔のカラカルに笑顔で抱き着くサーバルを見て、その場の全員が「あ、ダメなやつだ…」と思ったのだった。

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