第4話 天井のシミ

 出張先のビジネスホテルに泊まっている。明日のためにも早めの就寝とした時、見つけてしまった。天井のシミが、人の顔に見えてしまった!

 錯視だと理解してても、無い視線を感じてしまう。シミを見つめていると、

「――眠れませんか?」

 なんだ! 夢か? 突然、天井のシミの口に当たる部分が動き、言葉を発し始めたのだ。中性的な声でシミは話しかけてくる。どう返したものか。

「あ、あの、もう寝るんで……」

「そうですか……すいません、邪魔しちゃって……」

 その言葉を最後に、シミは一切話さなくなった。これで快く睡眠できるだろう。

 この体験は、いわゆる心霊体験に含まれるだろうか。……どうでもいいか。

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