第7話

 タクシーの運転手はさすがに青山葬儀場をご存知で、あっという間に到着した。

 だけど入口から物凄い人の列!

「どこに停めます?」

「とりあえず列の最後尾に」

 タクシーは人の列の最後尾を目指して走る。なんだよこの数は! まだ葬儀開始前だぞ!

 ようやく最後尾に到着して、タクシーの運転手さんが尋ねる。

「誰の葬式なんです?」

「手塚治虫です」

 運転手は、ああと納得の表情をして料金を受け取った。


 走り去るタクシーを見送りながら、さてどうしようかと考える。このまま最後尾に並ぶと、2時間かかっても入口に着くわけがない。

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