第6話
さて、猫をかぶって過ごしたおかげで、3月2日当日を無事迎えることができました。
それでも油断なく許可された時間までおとなしくしている。
ともすると表情筋が緩んでしまうのを警戒しながら、外出許可の時間まで待機。
なんたって「昔から知ってる人の葬儀」に行くのだ。ニヤニヤしていては怪しまれる。
寝巻きから普段着に着替え、「あれ?どうしたんだろ?」という幾つかの事情を知らない視線を無視して、いざ外出!
JR(になったばかりの)信濃町駅に突進!
だけど、場所がわからない。青山葬儀場なんて学生が知ってるわけもない。病室で地図なんて見ることできなかったし。
(繰り返しますが、これは平成元年の出来事です。スマホもGoogleマップも無い時代です)
「砂時計の砂粒は、この際ダイヤモンドより貴重だ。」
読んだばかりの銀河英雄伝説のセリフが脳裏に浮かぶ。
貧乏学生はタクシーを呼び止めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます