第129話 災い転じて大進化!?
魔界城で大爆発が起きゴーレムが動かなくなった。
上空で待機していたベルは大急ぎで魔界城に開いた穴へ飛び込んだ。
中は瓦礫だらけで見るも無残な事になっていた。
「い、一体何があったでありますか!?」
瓦礫の側で血だらけの涼を発見したベル。
「涼さん!!」
ベルは大急ぎで駆け寄りガマ口から治療セットを取り出す。
「べ、ベル?」
「何でこんな酷い姿に!?」
「胸の機械は触んな…ヴァニティがヤバイもんを…」
「ヴァニティが此処にでありますか!?姫様は?他のみんなはどうしたんでありますか!?」
「いっぺんに…聞かないで…くれ…」
「あ、ごめんであります…」
「ベル殿、涼殿ご無事か!?」
「その声は蜥蜴!それはこっちの台詞であ…」
ベルの目の前にいるのは、翼を生やし鱗びっちりで覆われた二足歩行しているドラゴンだった。
「な、何でありますか!?お前は!?」
「何ですぞ!?まるで怪物を見たみたいに!!」
「へ?アンタ蜥蜴でありますか!?」
「誰が蜥蜴だ!!我輩は誇り高き竜の末裔のリザードマンのルーガルだ!」
「もはや蜥蜴じゃないでありますよ!!」
「は?」
そのこの二足歩行している翼が生えた竜人の様な姿の怪物は何とルーガルだ。
「ルーガル!?何だその身体!?」
「か、カイエン殿!?お主こそ何でそんな首回りが緑の火で覆われておるのですか!?」
「え!?首無しでありますか!?まるでその姿は死神でありますよ!!」
「はあ?俺が死神だぁ!?」
カイエンは自分の姿をまじまじと見てみる、確かに何かおかしい…首回りから吹き出す緑の炎に黒い装束とマントに大鎌に取れなくなった首。
「な、何だこりゃ!?」
「我輩の台詞ですぞ!!」
「お前、ドラゴニュートになってないか?」
「わ、我輩がドラゴニュートに!!」
「で、俺は死神??」
「な、何がどうなってんでありますか??」
「進化したのか?」
声をかけて来たのは、大きな白虎。
て、白虎!?
「うわー!虎!!」
「何で虎が!?」
「魔物か!!」
「違う僕だ!」
白虎が喋った。
「何?まさか…コハクか!?」
「そうだよ…後肩にいるよ…」
白虎になったコハクの肩にいる小さな栗鼠。
「皆さん大丈夫ですか?」
「まさか、リアでありますか!?」
嘘だ。何でこんな小さな栗鼠に変貌してるんだ!?
「それだけじゃないんです」
「見てくれ」
肩から降りたリアの身体はどんどん大きくなっていく。
元の面影は残しつつ腕と足に毛が生え胸は大きくなり、更に背中から腰にかけて毛が生えてまるで獣人の様な姿になり。
コハクは二足歩行する虎の獣人である、身体の大きさは変わらないが。
「うわ!ナイスバディであります!」
「恥ずかしいですよ!」
「獣人化するなんて…」
更に2人は元の姿になる。
「一様元の姿にもなれる見たいですね」
「おかしいな…僕達はまだ進化出来る程の力は無いはずだ」
本来なら順を追って進化していく亜人に戦いながら長い時間をかけて身体を変化させ進化するリザードマン、それにデュラハンから一部しか現れない死神まで…何で4人が一気に進化して姿が変わってしまったのだ!?
「みんな…かっこよくなったな〜あれ〜」
涼は目を回して倒れた。
そして地を大量に吐き出す。
「うわー涼さんが!!」
「早く船に運ぶんだ!!」
仲間達は涼を船に運び込むと急いで此処を離れた。
「う…うーん…ここは?」
涼は目を覚ました、船の中の医務室のベッドの上だ。
身体は包帯で巻かれ、胸には埋め込まれたメタル・ニュークリアデバイスを覆い尽くすように宝石のカバーがされている。
「目が覚めたようだな」
「涼さんもう大丈夫でありますよ」
「ベル、ブラキオ…ごめん…アリシア達が…」
「聞いた。主のせいじゃない」
「調べたらその埋め込まれたデバイスは現段階では取り外すことが出来ないでありますよ」
やっぱり外せないのか…ヌークリア…小型の核を俺に埋め込んだのか…
身体は今のところ何ともないがいつどうなるかはまだ判らない。
「案ずるな、我の力でその奇妙な石塊を我の力で押さえつけた。レッドベリルを使わなければ大丈夫だ。」
「じゃあ、俺の身体にもみんなの身体にも悪影響は?」
「とりあえず封印したから大丈夫だ。だが、お前の意思が緩めばまた同じ事になるからな」
「わかったよ…」
つまり、レッドベリルはもう使えない…使ったら周りの者達にも汚染させ大変な事態になる。ガネットまで死の世界にするわけにはいかない。
「涼さん目を覚ましたんですか!」
「涼殿ご無事か!?」
「馬鹿だから大丈夫だろ」
「確かに」
「みんな…ていうか、それコスプレ?」
涼は思わず口に出した。
「誰がコスプレだ!」
「ていうかコスプレって何だい?」
「知らないのに突っ込んだのか!?」
「ボケはいいからもう!!」
「とにかく、何でこんな事になったか説明を求めるであります!」
コハク達はおそらく自分達が進化したのは涼の勇者石を外した際に発生した妙な光の粒子を浴びたせいだと言った。
おそらく、レッドベリルと放射線が偶然何かしらの科学反応が起きて人じゃないコハク達の身体に影響を与えたのだと推測された。
「で、気がついたら我輩達はその…」
「進化してたと…」
「そうだ」
「レッドベリルと核兵器が偶然の科学反応で皆さんの身体を異常な速さで進化させたんでありますねきっと」
「でも、かっこよすぎですぞ!我輩!」
「まあ、蜥蜴ではなくなったからな」
「カイエン殿も首無しでは無くなりましたな」
「いいやがって!」
「そちらこそ!」
肩を抱き合い笑う2人。
「この身体で変身したらどいなるんだい?」
「確かに…」
「一回やってみたらどうだ?」
「やってみるか!」
「そうね!」
2人は剣を取り出し勇者石をはめ込む。
ブルー!ザ!宝救武装!
ピンク!ザ!宝救武装!
「「宝救武装!」」
2人の掛け声で剣先から光が吹き出して2人の身体に纏うとスーツと鎧を作り出し、手袋、ブーツを装着し最後にパートナーを模したヘルメットを装着し変身完了した。
「あれ?変わってない?」
「2人とも他の姿になってみるでありますよ!」
「「動物形態(ビースト)」」
コハクの体つきがスーツ越しで変わっていく、4つんばいになりブーツと手袋に爪が生え身体の鎧がプロテクターに早変わりしヘルメットは虎の頭みたいになった。
「ガオッ!」
「うわ、虎でありますね」
「まさか、スーツも合わせて変化するなんてな、この姿の時は素早く動けるな!筋力もこっちのが強い!」
「まるっきり虎だな。コハクのサイズのままだが普通に虎の大きさだし。」
「次は獣人化(ワービースト)」
虎形態のコハクがそのまま立ち上がり上半身が筋肉質で下半身も発達した虎の足のまま、正に人の身体をした虎た。
マスクも先程のままである。
「うわ〜強そう」
「でも、身体の大きさは変わらないんでありますね」
「私は変わりましたよ」
アレ?声は聞こえるが、見えない?
「下です下!」
「ん?」
あれ!?リアがまんま小さくなってる。
「どうやら身体が小さくなるのが動物形態みたいです」
「こりゃ便利かも」
「リスさんと同じくらい小さくなるでありますね」
「獣人化!」
リアは急に身体が大きくなると先程のナイスバディのままだった。
「もしかして変わってない…」
「ナイスバディになっただけでありますよ!」
「そ、そんな事ないですよ!」
「お前ら遊んでる場合か?」
「姫様達はどうするんですぞ!」
あ、いけね!忘れてた。
ベルは届いたデータを解析していた。
「どうだ?」
「ビンゴでありますよ。あのお城の真下にワームホールへの入り口があるであります。あそこを通ればガネットへ帰れるでありますよ。」
「よっし!早いとこ行こうぜ!」
「いや姫様がガネットに行ったかは判らないままだろ、むやみに動くのは」
確かにアリシア達が何処へ連れていかれたかなんて誰も知らない。迂闊に動いて間に合わなかったら取り返しがつかない。
「いや姫はガネットに行った可能性が高いと思うぜ」
「何故に?」
「きっと向こうでは泥棒女が好き放題してる筈だ、きっと見せしめと称して姫を処刑しようとすると思うんだ」
確かにあの女なら考えそうな事だな。
「なら、急がないとな!」
「涼、もういいのか?」
「ああ、もう大丈夫だ。」
「無理してないか?」
「え?」
「レッドベリルだよ、奴らへ対抗できる力をじしつ無くして、しかもヴァニティは…」
仲間達は心配していた。
魔王ヴァニティは平行世界の猿渡涼だった。
もう1人の自分が全ての黒幕だった、それだけでもショックは大きいのに頼みの綱だったレッドベリルはもう使えない、色々ありすぎて精神的に彼が参ってないか皆んな心配なのだ。
「確かに気にしてないと言えば嘘になるさ」
「やっぱり…」
「でも、今はアリシア達を助けるのが第一だ。後の事はその後考えても遅くはないだろ!」
「そうだな。」
「姫様達を助けださないとですね」
「我輩のカッコいい姿を見せたいですぞ!」
「君目的がズレてないか?」
「まあ、着いたら嫌でも見せる事になるんだ」
向こうに戻ったら嫌でも戦う事になるんだから。
「じゃあ、皆さん!ガネットへ一旦帰るでありますよ!」
ベルはコンソールを動かし船のエンジンを動かすと次にレバーを引き飛行ユニットを作動させると飛び上がり着陸していた場所から再び魔界城へ向かう。
壊れ果てた魔界城の根元へ向かう。
「よーしアレをブチかますであります!」
ポチュ!
船の船首のティラノサウルスの口が開くと中から大砲が出てきた。
「口開いたーー!!」
「それはもういいでありますよ…」
前に見たギャグであります。
ギャグじよねーよ!お約束だ!
「ありゃ何だ?」
「超強力な大砲でありますよ!」
「いつの間にそんな物を!」
「アレで空間に穴を開けるの?」
「そうであります!超パワーでありますから!」
ベルはコンソールを弄ると船首の大砲にエネルギーを充電する。メーターにエネルギーが貯まる。
「行くでありますよ!真・ジュラシック砲!」
「「発射!・であります!」」
ポチュっとな!
船首の口から放たれたエネルギー砲が城の根元に当たるとガラスが割れた様な穴が現れた。
「ワームホールであります!!」
「よし、帰るぜ!ガネットへ!」
船はワームホールに飛び込んだ。
「ベル!結界」
「はいであります!」
カチッ!…あれ?
「どうした?」
カチカチカチ!ボタンを連打するベル。
「あはは…結界動かないであります…」
「「「「「何っ!?」」」」」
結界が動かないって…て事は!?
べきべきと嫌な音が響いてくる。
「うわー!か、壁が潰れ初めてますぞ!!」
「ヤバイヤバイ!!」
「まずい船が圧に耐えられてないぞ!!」
ワームホールの中は酷い磁気嵐と重量の世界だ。硬い宝石でさえバラバラになるのだ、結界がはれないこの船はこのままだと数分と持たずに潰れてしまう。
「さっき受けた攻撃でエネルギーが底をついていたでありますよーー!!」
「馬鹿野郎なんで回復を待たなかったんだ!」
「忘れてたでありますよ!!」
「ありますよじゃないだろうが!!」
ドカーン!
「どこが壊れた!?」
「右の翼です!」
「おい左も壊れたぞ!」
「うわーこのままじゃミンチであります!!」
「いや、ミンチじゃなくてマッシュだ!」
「とっちも嫌ですよ!」
そう言う場合じゃないだろ。このままじゃ死ぬだろ本当に!
「ベル!要はエネルギーアレばいいんだよな?」
「は、はいであります。それって電気か?」
「でありますが….」
「そうか!おいみんなのビリビリ宝石で充電するんだ!」
そうか、電気石で動いているならビリビリ宝石で電気ショックを与えれば結界(シールド)のエネルギーが戻るかもしれない。
涼達は急いで動力部へ向かった。
赤い光が点滅してるこれが黒曜石を使った結界の装置である、その先に繋がっているコードを見つけると仲間達は剣を取り出し人口宝石をはめ込みとグリップを引く。
「「「「「ビリビリ宝石!」」」」」
五人の剣から小さな電気ショックが放たれたるコンセントを通じて電気が伝わり動力部の電気石が反応すると装置が動き出し船の周りに結界を張る。
「か、間一髪であります…」
危うくコックピットが潰れる所だった。
既にだいぶべこべこだが。
「間に合ったか!?」
「だいぶペシャンコではありますが…」
「持つんだろうな!?」
「タングステンを使ってるから何とかなってはいるでありますが…」
「見て、光が!」
ワームホールの先に光が見える…出口だ!
「さあ、いよいよでありますよ!」
「ガネットがあの先に!?」
「待ってろよ皆んな!」
「姫様無事でいて下さいね!」
「我輩達が必ず救ってみせますぞ!」
「アリシア、皆んな待ってろよ!!」
仲間達は決意のもと、船はついにワームホールを抜けガネットがある異世界へ戻ってきた。
しかし…
「え…えーーー!!」
そこは変わり果てた涼達の異世界があった、そこらじゅう戦争の後と、斑鳩の国旗が立てられていたのだった。
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