第117話 出航と旅立ち…そして…
「何だこのデザインは?」
「かっこいいでありましょう!」
「どうみてもありゃロボアニメの戦艦を取り入れたガレオン船じゃないか!」
誰だよ入れ知恵したのは!?
「やっぱり空飛ぶ船と言えばこれだな!」
「やっぱり戦艦ですよ!!」
「あの船首かっこいい!」
「お前らかよ!」
涼は思わず突っ込んでしまった。
この先代の馬鹿勇者か犯人は!
「どうしたのよ涼?」
「君がツッコミに回るなんて」
「雪でも降るんじゃないか?」
「いや痛々しいだろありゃ!!」
確かに俺達は戦隊だし似たような感じだがよ、あんなロボアニメ全開の戦艦には乗ってないぞ多分。ありゃどうみても人気ロボアニメじゃないかよ。特撮のおもちゃ作ってるところがよ。
完成した戦艦はどうみてもロボアニメにでてきそ戦艦の型をしたガレオン船で船首にはルビティラを模したティラノサウルスの頭がくっついている。様々な宝石が散りばめられたピカピカの戦艦…もとい船が出来上がった。
「さて名前の発表であります!」
「名前!?」
「勝手につけんなよベル!」
「命名権は早い者勝ちであります!」
どんな理屈だよ!!
「名前はズバリ!ガブガブ丸であります!」
「「「「「「「「「「ダサいわ!」」」」」」」」」」
「何故でありますか!?」
皆即答だった。
「当たり前だ!ガブガブ丸なんてダサいわ!俺が付けたメタガブゴーで決まりだ!」
「ダサいティラ!」
「何だと!?」
「当たり前だ!君はふざけてるのか!!」
全くネーミングセンスが破壊的にダサいんだからこの二人は。
「名前はやはり、飛龍丸ですな!」
「どうみても龍じゃないだろ!絶対にグラインドハンター号!」
「カイエン違うぞ!邪虎○戦艦だ!」
「コハクそれだけは止めろ!!」
「何故だい?」
さっき開設した会社から苦情が来るわ!
「ラチがあかないな…姫様。なんかあるか?」
「え、私が!?」
「たまにはいいだろ。」
「のぶさん勝手に決めるな!」
「「「そうだ!そうだ!」」」
「ガキかお前らは!少し静かにしろよ!」
信道も珍しく突っ込んだ。
「えーとじゃあ…スター…ダム何てどうかしら?」
「スターダム…スターダム…オリオン号なんてどうでしょうか?」
リアがそう言った。
「スターダムオリオン号か!」
「いいんじゃないですか?」
「自分は意義なしです!」
「うんうん!」
信道達は賛成。
「おー!かっこいいじゃないか!」
「うん、悪くないじゃないか!」
「姫様ナイスなネーミングですぞ!」
「リアもな!」
「えへへ!」
スターダムオリオン号…
俺達の希望の船の名前が決まったぜ!
名前が決まった船に涼達は積荷を運んで行く。
本来なら明日出発であるが、ジュリアン殿下の強い希望により本日直ぐに魔界へ行く事になった。
「蝦蟇爺達は行かないのか?」
「ああ、ワシらはワームホールの維持やお前達がいない間の死守など色々とやる事があるからな!」
「大丈夫。向こうに着いたら基地の冷蔵庫に繋げるんでしょ?」
「ああ、ベルがそう言ってた!」
船にも同じ冷蔵庫を設置したので後は向こうで調整して小さなワームホールを作れば行き来が可能だそうだ。
「こっちは任せておけ!」
「ああ、蝦蟇爺、賢者様。留守を頼むぜ!」
「何かあったら直ぐに戻れるでありますから大丈夫でありますよ!」
「頼りにしてるねベルちゃん!」
「お祖母様…」
「アリシアちゃん」
アリシアは大粒の涙を流しながらマナリアに駆け寄り頭を埋める様に抱きつく。
マナリアもひ孫をありったけの気持ちを込めて抱きしめる。
「行ってきます…お祖母様…」
「うん…行ってらっしゃい…アリシア…」
涙を流しながら抱き合う二人を見て微笑む涼。
「微笑ましい光景ですね!」
「ジュリアン殿下。」
ジュリアンも見送りに駆けつけてくれた。
ガネット国王も一緒だ。
「涼さん。必ず魔王を倒して下さいね!」
「涼殿。アリシアを頼みましたぞ!」
「ああ!任せておけ!俺達は戦隊だからな!」
涼は二人と握手を交わす。
「涼さん!姫様!行くでありますよ!」
船から響くベルの声。
スピーカーの役割をする鉱石で震わせて作ったマイクだ。
「行くぜ!アリシア!」
「ええ!お父様!お祖母様!ヴァンフォワード様行ってまいります!」
アリシアはそう言うと涼と一緒に船に走る。
船のハッチが開くと中に入る二人。
「うわー!これがコックピットか!?」
豪華なコックピットだ!ちゃんと10人の座席にご丁寧に即席の椅子まで完備されている。
まるっきり宇宙戦艦のまんまだな。誰だよ入れ知恵したのはよ!あの三人の誰だよ全く!
ベルは真ん中に座りコンソールをいじると操縦桿を握る。
「みんな、座るでありますよ!」
仲間達は席に座り込みシートベルトを着用した。
「さあ、行くでありますよ!メインパワーオン!」
「メインパワーオン!」
和樹がそう言うと鍵を回す。
すると周りの機械が光り始めた。
「電気石パワー充電開始!」
愛はそう言うとボタンを押した。
電気石も実は和樹達が持って帰って来たのだ。メインパワーとエンジンの動力の一つに使っている。
光のパネルにメーターが現れエネルギーが満タンになる。
「いざ魔界へ!」
「出発であります!ぽちゅ!」
ベルがボタンを押すと船は勢いよく…
ブーブーブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
「!?」
オナラをした!?
「がっ!?」
とベル。
「か、かっこ悪い…」
とコハク。
「馬鹿が…」
とカイエン。
「あらま…」
とリア。
「なんですとー!?」
とカイエン。
「う…」
と海斗。
「これは…臭い…」
と和樹。
「お、オナラ…宝石…」
と愛。
「だ、誰でありますか!動力部にオナラ宝石をはめ込んだのは!!」
ベルは声を上げた。
「ど、どうもすいません…」
「聞くまでもなかったわ…」
「涼お前はお馬鹿ティラーー!」
やっぱり涼アンタじゃないの!!
情けなくて涙がでるわよ!!全く。
外では王様達が鼻をつまんでいる。
これは流石にもダサすぎるスタートだった。
ベルが大急ぎで人口宝石を取り替えてる間、涼は仲間達からこっ酷く叱られ名札をぶら下げ正座させられた。
「私はお馬鹿です」と書かれていた。
「ぷんぷん!気を取り直して出発であります!」
ぽちゅ!
ベルがボタンを押すと今度こそスターダムオリオン号は飛び上がる。
「おお!飛んだぞ!」
「いよいよですね!」
「マナリア、ワシらはワームホールの準備だ!」
「はい!」
マナリアはそう言うと魔法陣を展開した。
「よいか、ベル?これから穴を開けるから座標を固定して魔界へ迎え!」
蝦蟇爺が通信宝石で伝える。
「了解であります蝦蟇爺!」
ベルは船の舵を取る。
「行くぞ!マナリア!」
「はい!先生!」
二人は呼吸を合わせてマナを放出し空に裂け目が生まれ始め、そこがやがて割れた鏡みたいにバリンと弾けると其処には磁気嵐が激しく渦巻くワームホールだった。この先が魔界だ。
「これがワームホールでありますな!」
「よし結界だ!」
「わかってるでありますよブラキオ!」
ベルは操縦桿の下のレバーを引くと、黒曜石が装置により反応し黒光りする結界を発生させる。
「成功であります!さあ、突入でありますよ!」
スターダムオリオン号はワームホールに突入して行く。
バチバチと凄い嵐だが結界のおかげで大丈夫だ。
やがて船は後ろまでワームホールに入って行く。
そして船は…
「今だやれ!」
ドッカーーーン!
爆発した。
「うわー!?」
「な、何だ!?」
突然の事で状況が理解出来ない涼達。
「めいでいめいでい!機関部破損であります!!」
爆発したスターダムオリオン号はワームホールに消えていきワームホールは閉じてしまった。
「あ、アリシア!!」
「何ごとじゃ!!」
「一体どうして!?」
訳がわからないガネット国王達。
「取り囲め!」
何処からこ現れた兵士達がガネット国王達を取り囲み剣を突きつけてくる。
しかも、ガネットの兵士達も加担していた。
「な、貴様ら何の真似だ!?」
「お前達は斑鳩の!?」
「一体どうして!?」
「邪魔だからだよ!」
三人の目の前に現れたのは不吉な程恐ろしい笑みを浮かべるジュリアン・斑鳩だった。
「ジュリアン王子!?」
「貴様図りおったな!!」
「何の真似じゃコレは!?」
「見ての通りですわ!」
ジュリアンの後ろから現れたのは何とアイカだ。
「あ、アイカ!?」
「流石だわジュリアン!」
「君のおかげさハニー!」
ジュリアンはそう言うとアイカを抱き寄せ熱いキスをした。
「アイカ貴様!!」
「もうアリシアは居ないわよ叔父様!」
「口を慎め老いぼれが!世の妃だぞ!」
「妃だと!?」
「ジュリアンは私の婚約者なのよ!産まれた時からのね!」
「な、何だとっ!?」
じゃあ、斑鳩は魔人族とずっと絡んでいたのか!?
そうか!ガネット以外国に状況が今まで全く伝わっていなかったのはジルド教だけじゃなく、斑鳩帝国が譲歩操作したからか!?
「今よりガネットは落ちだ!我がジュリアン・斑鳩・ガネット一世が命ずる!この者達を牢屋へ叩き込め!」
ジュリアンが命ずるままにガネット国王達は連れて行かれた。
「ありがとうジュリアン!」
「ハニーの為なら!」
「次はわかってるわよね?ダーリン!」
「ああ、勿論さ!次は…」
ジュリアンはアイカを抱き寄せると悪人面の笑みで呟く。
「世界征服だ!!」
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