第108話 何だこりゃ!?砂漠に雪が!?
気味の悪いゴキブリクイーンを倒した三人は洞窟の奥えと遂に辿り着く。
そこはマーブル模様だらけの岩が沢山の広い場所だった。三人は変身を解いた。
「凄い」
「あのマーブル模様にそれぞれの鉱石が埋まってるんだ!」
「さっそく掘り出しましょう!」
「どうやって?」
海斗は真宝剣の刃を先を太く下を細くする。
そうスコップだ。
「いやこれですよ!」
リアは宝救剣の刃先を曲げ左右に伸ばすとツルハシの様な形にした。
「便利だなその機能…」
信道はそう言った。
宝救丁にはその機能は無いからである。しかしそんなもんで取り出せるのか不安だったが、なんて事は無かった。
二人は変形させた剣で岩を削り始めた。
すると中からまだ加工前の鉱石が沢山出てきた。
「おお!ルチルだ!」
「他にも色々ありそうですね!!」
「取り敢えずある事はわかったから今日はもう戻るぞ!」
「そうですね。だいぶ疲れましたから」
「それに身体も洗いたいですよ師匠」
海斗はそう言うと臭いを嗅ぐやはりなんか嫌な臭いがする。そりゃあんな汚い連中と戦ったんだからな。
「じゃあ一旦戻ろう」
「「はい」」
:
信道達はガジュマルの木下の湧き水を通り抜けグルミ族の森へ戻って来た。
「海斗!おかえり!」
蜂に乗ったポップがお出迎えした。
「おうポップただいま!」
「どうでしたか?」
「ああ、元凶を倒したし目当ての鉱石も見つけたぞ!」
「元凶?」
「詳しくは後で話すよ」
三人は流石に疲れたので森の中でテントを張り交代で水浴びすると焚き火をおこし食事をしながらポップ達に事情を説明する。
「なんと魔人族の実験体があの熱帯雨林にいたですと!」
「はい。何とか元凶は積んだのでもう害虫や人食い植物の被害は無くなると思いますよ」
「美味いな信道!この木のみパンケーキ!」
ポップは小さな身体で信道が作ったきのみのパンケーキを頬張る。
「ポップ大事な話してるのよ!!」
「んぐんぐ!」
駄目だこりゃ…
「目当ての鉱石が見つかったから明日俺たちはそれを取りに行く」
「取り終えたら海斗達はどうするんだ?」
「勿論ガネットへ帰るさ」
「仲間が私達を待ってますから!」
「仲間?海斗達の他にも勇者がいるのか?」
「ああ、とびきりの馬鹿が集めた最強のメンバーがな!」
信道がそう言った。とびきりの馬鹿とは勿論涼である。
「そのとびきりの馬鹿って凄いのか?」
「ええ。」
「猪突猛進の馬鹿だが、とびきり凄い奴だ」
「不可能を沢山可能にした俺の恩人の一人なんだ」
「へぇ〜あってみたいな!」
「いつか会えるさ」
「さあ、明日は早いですから勇者様方はもうお休み下さい!」
「ありがとう族長さん!」
:
海斗達は次の朝準備すると昨日の洞窟へ向かうと。
「あ、きたきた!」
「勇者様!」
「アンタ達!」
洞窟にはあの避難所にいた村の人々と沢山の蜂にまたがり上の方まで岩を削っている沢山のグルミ族が居た。
「皆さんどうして此処に!?」
「グルミ族の皆さんから勇者様方が此処で石を採掘してると知らせてくれたのです!」
「で、私達も手伝いたくて馳せ参じたんですよ!」
「皆さん…」
「にいちゃん僕こんな大きい石を取ったよ」
海斗にルチルを見せにきた村の子供達。
「ああ、凄いな君達!!」
海斗は笑顔で子供達にそう言った。
「信道さん」
「師匠!」
「よし、みんなでやるか!後昼食はとびきりのご馳走を作るからな!」
信道がそう言った瞬間皆んなのテンションが上がる。そして三人も混ざると鉱石採掘がスタートした。こりゃ思ったより沢山集まりそうだ。
:
一方でこちらは留守番組のアリシア達が居る王都ガネットでは。
「そうでありますか!順調に集まってるでありますね!」
(ええ!そっちはどうですかベルちゃん?)
秘密基地の馬車の中で定期報告を受けているベル。相手はリアだ。
「やっと骨組みの作業に取り掛かかってるでありますよ!あ、首無し達も鉱石を見つけたらしいでありますよ!」
(カイエンさん達も見つけたんですね!!)
「後は涼さん達でありますよ。」
(まだ連絡来てないの?)
「そうなのよ!涼の奴音信不通なのよリアさん!」
(姫様!ご無沙汰ですね!)
久々に見たアリシアの顔を見てホッとするリア。
「ええ久しぶりね!」
「姫様こっち来ていいんでありますか?」
「ええ、今は休憩時間よ」
アリシアは今、賢者マナリアと蝦蟇爺に鍛えてもらっているのだ。今は休憩中なのだ。
「しかし、涼ったらアレから3週間も立ってるのに一体何処をほっつき歩いてるのかしら?」
(涼さんは判りますが、コハクや愛さんからも連絡無いんですか??)
涼はともかくあの二人が連絡しないなんて。
「猫も愛ちゃんからも何もないでありますよ!」
「ベルちゃん…いくら居ないからって好き放題いい過ぎよ…」
「てへであります!」
(何にしても心配ですね)
「まあ、涼さんは頑丈でありますから大丈夫でありますよきっと!」
「あのお馬鹿の事よ。どうせ、またトラブルを起こして捕まってるんじゃないかしら?」
(いや幾ら何でもそれは流石に…)
:
「へっくしょん!!」
ありました。
アリソナ砂漠へ向かって居た涼達は今氷で出来た檻に放り込まれていた。
しかも三人は囚人服を着せられていた。
「寒い…」
「同感です…」
「全く…何で僕達がこんな目に!!」
そうこの氷の監獄はなんとアリソナ砂漠のど真ん中にあるのだ!!
しかし、何で涼達はこんな所で捕まっているのか?
それは遡る事三人が砂漠の薔薇を求めて旅だった日の事。
:
「ぐわ!」
「ぎえ!」
「いて!」
「ティラ!」
三人と1匹は洞窟から飛び出し雪の上に落ちた。ルビティラが強引に入ったせいで空間が捻れてしまい指定した場所とは違う場所に出てしまったのだ。しかも吹雪。
「いてて…つか寒っ!!」
「な、何だ雪??」
「アレ?先生、僕達は確か砂漠に向かう為に一度近くの村に出るはずなんじゃ?」
「だよな?何処だよ此処??」
「寒いティラ!!」
お前のせいで訳分からん場所へ出たんだろうが!
「コハク判るか?」
「北国?いや違うな?」
北国ならこんな殺風景な場所な訳ない。
木が一本も周りに無いところからみて北国じゃないし酸素も薄く無いから山でもない。
「まさか誤作動で扉以外から飛び出すなんてな!」
「先生シャレ言ってる場合じゃないですよ!」
「え?言ってないぞ俺!」
たまたま並びがそうなっただけだろ。
「オイ!アレ!」
コハクが何かを見つけた。
「何か倒れてるぞ?」
涼達は恐る恐る近くと、それはラクダの死体だった。
「え!?ラクダ!?」
「何でラクダの死体??」
「先生!アレサボテンじゃ!」
「何!?」
愛の指の先には寒さに負け枯れ果てたサボテンが見える。
「枯れたサボテンって…まさかここは!?」
「涼、ここはアリソナ砂漠だ!!」
「はあ?砂漠だって!?」
「地面をよく見るんだ!足元が妙に柔らかいと思ったら湿った砂だ!」
確かに海辺の濡れた砂と同じだ。
「ここが目的地の砂漠なら何で吹雪にていうか雪が降ってるんですか?」
「僕が知るか!」
「涼!何しても前が見えないティラ!」
「確かにコレはマズイかもな…」
砂漠は灼熱地獄のはずなのに何で極寒なんだよ。しかもまだ装備を整えてないからこのままじゃマジでヤバイ。砂漠で凍死なんてシャレにすらならん。
「とりあえずビワークだ!」
「ビワーク?」
「穴掘りだ!その穴に身を潜める!」
雪山じゃ基本だ!だが掘っても掘っても底が砂のせいで全然穴が掘り進まない。
「あれ?全然穴が空かない!?」
「馬鹿か君は!?砂漠の砂だぞ細かすぎて濡れてても直ぐに埋まるんだよ!海見りゃ判るだろ!!」
「涼は馬鹿だティラ!へっくしょんティラ!!」
「うわ汚い!」
「俺は宝石ティラ!汚くないティラ!!」
「喧嘩するなこんな時に!!」
吹雪の中割ってはいり喧嘩を止めるコハク。
「ちょっと退いて下さい!」
愛はそう言ってもめてる二人と1匹を退かし真宝剣を弄りながらグリップを引き地面に差し込む。
すると煉瓦で出来たかまくらみたいな建物を作り出した。
「おお!かまくらだ!」
「愛凄いな!」
「やるティラね!」
「早くはいりましょう凍死しますよこのままじゃ!!」
三人と一匹は中へ入る。
中はそれほど広くはないので、ルビティラが座り込みその周りに男三人がもたれ掛かる感じだ。
中でコハクが木材を作り出し薪を組むと涼が手から炎を放ち焚き火を起こす。
ちゃんと煙突も作ったから中毒の心配は無用だ。
「ふー助かったな〜」
「しかし、何で砂漠で吹雪が?」
「分かりません。ただ判るのは普通じゃないって事だけですね」
「とりあえず。おにぎりでも食べようぜ!」
涼はそう言って鞄からおにぎりを三つ取り出して渡した。
「おにぎり…なんか久々です…」
「涼!俺も食べたいティラ!」
「わかった、わかったホラよ!」
涼はおにぎりを半分に割りルビティラの口に放り込む。
「んぐ、んぐ。うん美味いティラ!」
「のぶさんは流石だぜ!」
涼もおにぎり頬張る。
「とりあえず今は吹雪が止むまでここで待つしかないな」
「駄目ですね。通信が繋がりません」
「繋がらない?」
「多分この吹雪は磁気嵐でもあるんでしょう。だから通信が繋がらないんです。」
参ったな要は砂嵐でもあるわけか。いや違うんですけど…だいぶ…
「何にしても少し休むか」
「俺があっためるティラ!」
そう言うと体が赤く光り熱を放つルビティラ。
「お!久々だなソレ!」
「涼と会って以来ティラね!」
「ルビティラそんな事出来たのか?」
「確かにこれならいい暖房ですね!」
三人と一匹は昼だか夜だか分からない暗闇の中ルビティラの熱で暖をとりながらとりあえず眠る事にした。
:
「ん…んん…お、止んだか!」
涼は先に目覚めると煉瓦で作ったかまくらをでるとそこは砂漠ではなくまるで一面の銀世界だった。
サボテンは枯れ果て周りには凍りついた岩や生き物達。砂漠ではなくまるで南極大陸みたいになってしまっている。太陽はギラギラとしてるのに全く暑く感じず寒い。
「一体何がどうなってんだ??」
涼が一人立ち尽くしている時だった。
向こうからフードを被った人達が此方へ向かってきている。なんかラクダじゃなく馬でもなくラルトルみたいな蜥蜴に乗ってる。
「おい、みんな!誰か来たぞ!」
「ん?誰か来た?」
「こんな場所に?」
涼が呼びにかまくらへ入ると二人も目を覚まして外に出る。ルビティラはまだ寝てる。
「おーい!」
「馬鹿、わざわざ呼ぶなよ!」
「何でだよ事情を聞けるじゃないか!」
「何か竜に跨ってますし僕もそう思います」
涼の声に気づいてフードを被った者達が此方へ進路を取る。小さな竜に跨っている人数は3人だ。
「先生来ましたよ!?」
「言わんこっちゃない!」
「大丈夫だって!」
涼はそう言うと駆け出し向かって来たフードの人物達の元へ走る。
「よう!アンタ達はこの辺の人達か?」
「そうだ。貴様は?」
「あ、俺たちは」
「涼!」
「先生!!」
コハクと愛が跡を追ってくる。
「全くまた考えなしに」
「そうですよ!」
「わるいわるい!」
「ん?貴様はっ!!」
フードの人物はそう言う竜から降り愛を押し倒しサーベルを喉元へ突きつける。
「な、何なんですか!?」
「貴様!よくもこの地をっ!!」
「お、おいやめろって!」
「動くな!」
「「ん?」」
2人は振り向くとルビティラが簀巻きにされ踏んづけられている。
「んぐ!んぐ!」
もがくルビティラ。
「コイツがどうなってもいいのか!」
「涼!」
「くっ!」
「武器を捨てろ!早く!」
涼とコハクは宝救剣を地面に投げ捨てた。
やがて小さな竜に乗ったフードの人物達が増援でやってくると涼達は手足を縛られ連れていかれ現在はツルハシを片手に氷を掘らされているのだ。何があったのだ??
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