第91話 変身出来ない!?ジルドレイの呪い

涼達はコハク達と合流する為にマップに映る青点滅の部屋へ向かっている。

だが途中信者達が彼方此方から現れ襲いかかってくる。

たった1人だけ変身出来る信道が右に宝救丁左に濁酒銃を構えて応戦し何とか峰打ちをしているが次から次へ湧いてくる為に切りがない為にとにかく今は戦闘を避けるしかなかった。

「くそ!先に進まない!」

「もうしつこいわよ!」

「邪魔ですぞ!」

「お前ら支援くらいしろよ!」

信道の後ろに隠れている三人。

「ていうか何で隠れてる!」

「だって怖いもの!」

「ですな!」

「宗教はマジに怖い…」

「勇者だよな!?お前ら!!」

そりゃ牢屋にぶち込まれ、裸にされ貞操を乱されそうになり、簀巻きされ怪物の飯に危うくなる所だったんだ怖いのも仕方ない。

「ん?」

「どうしたの?」

「ルーガルお前怪物に食われそうになったって言ったよな?」

「言いましたぞ!」

「その怪物は何処だよ?」

「調理場の奥の檻ですぞ。彼処は怪物を飼うための部屋らしいので!あの調理場は生き物を解体する場で…」

「調理場って確か…今誰もいないんじゃ…」

「ルーガルは簀巻きで暴れて逃げたのよね?」

「ええ。」

「怪物って…いた?」

そういえば…調理場にはいなかったような…

ルーガルが暴れて逃げ回ってたさいに信者達は一斉に居なくなり。もし檻が開けっ放しだったら…

「ぎゃあぁぁぁぁぁ!」

1人の信者が何か噛みつかれ食い殺された。辺りに血が飛び交う。

「な、何かいるわ!?」

「ウガァァァァァァ!!」

曲がり角から現れたのはライオンの頭に左右にドラゴンとヤギに尻尾は毒ヘビに蝙蝠の翼に前足が猛禽類の怪物だった。

「あいつですぞーー!!」

「デカイし!」

「何よアレ!?」

「とりあえず逃げるぞ!!」

涼達は一目散に逃げ出した。

怪物は信者達を食い殺しながら涼達を追いかけて来た。

「イヤー追って来たわーー!!」

「まるでゲームのキマイラだありゃ!!」

「キマイラ?」

「化け物の合わせた奴だよ!」

「解説はいいから逃げるのよ!!」

キマイラは口から火の玉を吐いてきた。

涼達はひたすら逃げ回るしかなかった。

「何か騒がしくないか?」

「大方涼がトラブルを起こしてんだろ」

いや今回は違うのだった。

コハク達は点滅していた部屋に入ると物色している。この部屋に宝救剣があるはずだが汚い本ばかりでそれらしい物が無い。

「本当にこの部屋にあるのか?」

「間違いないよ。こうして反応してるんだし」

「どう見ても汚い書庫だよな?」

カイエンが本棚に寄りかかると棚が回り出しカイエンが消えた。

「カイエン?」

「おーい!あったぞ!」

「本棚が入り口になっていたのか?回るのか?」

本棚の先には何とも沢山機械がある部屋だ。

宝救剣と宝救聖剣はこの部屋の機械の中に入れられていた。

コハクは入れられていた機械を壊しカイエンは剣を全て取り出した。

「やっと取り返したな!」

「よし長いは無用だ。速く涼達に合流しよう!」

「ん?おいコハイ!」

「何だい?急がないと!」

「アレ!」

「へ?」

奥に更に部屋があった。

カイエン達は恐る恐る中へはいるとそこにはガラスケースにホルマリン液がたっぷり入っている。何個かその中に入っている。

「何だここは?」

「気持ち悪い顔がうじゃうじゃだな」

ホルマリン液の中にはジルドレイが入っているしかも何人もだ。

「容器の中に同じ顔の奴が?」

「これ話に聞いたホムンクルスじゃないか?」

「ホムンクルスって確か理論を書いただけで独房に放り込まれるって言う」

「ああ、命を弄ぶ異端な研究として禁止されてる奴だよ」

「それが何でこんな所に?」

「カルト集団だからな。何をしてるか…」

「ん?これは!」

「どうした?」

「コレ!」

「ん?あ!コイツは!!」

:

涼達はまだキマイラに追い回されている。

「だぁーもうしつこい!!」

「ていうか信道何処に向かってるのよ!」

「このまま進めば広い場所に出る!」

「確かに通路では戦いにくいですからな!」

迷路みたいな教会の中に広い場所なんかあるのか?

「あそこだ!飛び込め!」

涼達は扉を蹴破り中に入る。

「て!此処闘技場ない!!」

「何で闘技場が教会の下にあるんだよ!?」

「アレが理由だからだろ!」

信道の指の先には武器を持った奴隷が戦っていて意地汚そうな金持ち共が賭博している。

「まさか!」

嘘だろ…ここまですんのかよ。

「うわー来ましたぞ!!」

キマイラが雄叫びを上げ闘技場に入り込んだ。

周りにいた金持ち達は一目散に逃げている。

「彼奴らに付いていけば!」

「外に出られる!」

「良し騒ぎに紛れて逃げ出すぞ!」

「さあ速く!」

涼達は騒ぎに紛れて逃げ出した。金持ち達が抜け出た出口はジルド教会の中庭につながっていた。

「こんな所に繋がっていたのか!!」

「長いは無用だとっと出るぞ!」

「涼危ない!」

「え?」

下から鉄格子が飛び出して来た。

「何っ!?」

続々と鉄格子が飛び出し出入り口を全て塞がれた。

「げ、閉じ込められた…」

「嘘でしょ…」

「まあ奴隷がいたくらいだ逃がさない為の檻だったんだなこの庭は!?」

全く裏ではとんでもない事のオンパレードかよこの宗教は!

やがて周りにジルド教の信者達が取り囲み涼達に拳銃を向けている。

「仮にも宗教だろ!そんな武器使ってんじゃねーよ!!」

「もう逃げられませんよ!異端者達!」

「ジルドレイ!」

「気安く名前を呼ばないで頂きたい余所者の悪魔め!さあジャンヌ此方へ!そのような悪魔と共に居てはいけません!」

「いい加減にしないよ!私はジャンヌじゃないわよ!」

「お前ら此処までの事をしといて国が黙ってると思ってんのかよ!!」

「ん?ちょい待てよ…ここまでの悪行をどうして今まで漏れなかったんだ?」

「確かにそうね。これだけの行き過ぎた宗教なら何処かで漏れて操作が入るはずよ!」

「誰かが隠蔽してると」

「そんな事が出来るのはこのパチ宗教を国教としてる国だ…すなわち…」

「ジークバルトの本国…バルマス!!」

「感がいいな貴様達!」

ジルドレイの後ろからアイカともう1人男が現れた。彼奴は!!

「バルマス国王!?」

「アンタは愛の裁判の場にいた奴!!」

「国王自らカルト集団にいるなんてな」

マジかよ…ジルド教の悪行が全く漏れていなかったのは国王がグルだったからだったのか。

「だから外部に漏れてなかったのね!」

「その通り。我が一族は偉大なるジルド教の教祖ジルドレイ様の血族だ!」

「は!?奴の子孫だぁ!?」

「全く私も若かった日です。ジャンヌを奪われた悲しみを癒す為に…我が妹に身体を求めてしまった…愚かな私もまた汚れしもの…ですがジャンヌが私を浄化してくれました…」

「は?ちょっと待て…今妹って言わなかったか?」

「まさか…バルマス国王は!」

「奴の近親婚の子孫だって言うのか!?」

おいおいちょっと待てよ。色んな意味でやっちゃ行けない領域を踏み込み過ぎてる。

「アンタ頭おかしいにも度が過ぎてるぞ!」

「最低!アンタ最低よまじで!!」

「我がジルドレイ様を馬鹿にするか!」

「アンタも相当おかしいぞ!」

「大体なんのためにこんな馬鹿な事を!!」

「馬鹿な事?」

そりゃ馬鹿以外の何者でもないからな。

「決まってますよ!ジャンヌと結ばれる為それ以外は眼中にありません!」

「アンタそれしか言わないのか?」

「いやまだ裏はあるぞ!」

涼達が脱出した出入り口からコハクとカイエンが出てきた。

「コハク!カイエン!」

「無事だったのね!」

「おうこの通りだ!」

「カイエン殿!」

「ルーガルやっぱ無事だったんだな!」

「みんなホラ!」

コハクは涼達に奪い返した剣を渡す。

「な、貴様!私の剣を盗んだか!」

「ふざけんな俺達のだ!」

「みんな行くぞ!」

「「「「「オウ!」」」」」

涼達は勇者石を胸から出すと宝救剣、宝救聖剣そしてチェンジエッグにはめ込む。

レッド!ザ!宝救武装!

ブラック!ザ!宝救武装!

ブルー!ザ!宝救武装!

グリーン!ザ宝救武装!

マジェスティ!ザ!宝救武装!

へい!とりあえずゴールド一丁!

「「「「「宝救武装(ホウキュウチェンジ)!」」」」」

「乾杯(プロージット)!」

剣から銀色の光が吹き出し身体に纏い鎧とスーツとマントを構成し装備される最後にパートナーを模したヘルメットを被り変身完了した。

1人だけ…はっ!?1人だけっ!?

「はぁっ!?変身出来ない!?」

「何だこれ??」

「何事ですぞ!?」

「どうなってるんだ?」

「おいおい俺もかよ!?」

なんとアリシア以外はみんな変身が不可能になっていた。

涼達はグリップを引くが何にも起こらない。

「嘘だろ!」

「スキルも使えない!?」

「何故こんな事に!?」

「あはははは!愚かな〜滑稽だ〜!」

「何が可笑しい!」

「貴様らの剣のレプリカは私が作った物。当然私が何もしない訳ないでしょ!」

「貴様の剣はジルドレイ様がいつでも石塊に出来る様に呪い(まじない)をかけて制作されていたのさ。ジルドレイ様が解かなければそれはただの飾り物と言う訳だ!」

やられた…あの野郎最初から保険として組み込んで嫌がったんだ。

「型を変えようとも同じ!汚らわしい果物ナイフになろうと同じ事」

「まじかよ…」

「何故姫様だけ変身が?」

「そうか!宝救聖剣はブラキオが作った物だ!奴はあくまでそれを真似しただけだ!」

「オリジナルにはあの野郎の呪いはかかってないって事か!!」

「頼りは姫様って事だな!」

「無駄な事は止めなさいジャンヌ!」

「アイカ!アンタもしつこいわよ!」

「教祖ジルドレイ。少し懲らしめた方がよろしいかと。」

「ですが相手はジャンヌ」

「異端者の身体にいる以上はまずは出さないとなりません。これは異端者の体から追い出すチャンスですわ!」

また余計な事を…

「確かに!キマイラ!ジャンヌを救う為に浄化しなさい!」

ジルドレイがそう言うとキマイラが地面を飛び出しアリシアに襲いかかる。

「きゃ!」

アリシアは慌てて避けた。

「この野郎!」

「待て涼!」

「離せお前ら!」

「今の僕達じゃまず邪魔になるから!」

「んなもんコイツで切り裂きゃ!」

「止めとけ!多分刃物もダメだ!」

実はその通りだった。

「手出ししないで!」

「アリシア…」

「私も勇者よ!これくらい!」

アリシアは剣を構えてキマイラへ斬りかかる。

ガキン!

「か、硬い!!」

「私が作らせたキメラは最強の魔獣だ!」

バルマス国王は高らかに宣言する。

「だったら!」

アリシアはアレキサンドライトをはめ込みグリップを引く。

「邪気滅殺!」

アリシアは宝救聖剣を振りかざし光の刃を放つ。しかしパワーが弱くキマイラは簡単に弾いた。

「パワーが下がった聖剣なんか怖くもありませんわ!」

やっぱりブラキオの力が一気に下がったからパワーも全然足りないんだわ。

「ウガァァァ!」

キマイラは飛び上がり山羊の頭の角から雷を放つ。

アリシアは剣で弾きすかさずタンザナイトをはめ込みグリップを引く。

「アイスブレード!」

アリシアは氷の剣を作り出し刃先を二股に伸ばしその刃でキマイラを挟み込むがバリンと破れてしまった。

「これでも駄目なの!!」

「うわ!姫様がピンチですぞ!」

「俺達の宝石を!」

「剣がこれじゃ出せないだろ!」

そうだった…宝救剣が使えないから宝石が使えない。

「そうだ!アレなら!」

涼は意識を集中しレッドベリルを取り出した。

「あちあち!アリシア使え!」

涼はアリシアにレッドベリルを渡した。

「あっち!あっち!」

アリシアはレッドベリルを宝救聖剣にはめ込んだ。すると剣から炎が吹き出し真っ赤に赤くなった剣。

「熱っつ!」

アリシアは思わず手を離してしまった。

「持てないんかーー!」

「ていうかアレ意味あんのか!?」

突っ込んでる場合か!!

アリシアはあまりの熱さに持てずじまいだったが一瞬だけキマイラに振り翳すと赤い刃が無数に放たれキマイラが燃え上がりそのまま焼き死んでしまった。

「私のキマイラがっ!!」

「お!やった!」

「熱いわねもう!!」

アリシアはレッドベリルを外して涼に投げつけて返した。

「貴様!よくも私のキマイラを!」

「レッドベリル…凄まじい力ね!」

「貴様!それはジャンヌの宝石ではないか!何故貴様がソレを持っている!?」

「あ?今は俺のだよ!」

「ぶさけるな!レッドベリルはジャンヌを見つける手がかりだった!ずっと私は探していたのだ!それを私に返さないか!」

「勝手言うな芋っ鼻!」

「きいぃぃぃぃ!私の恋路を何処までも邪魔するとは!」

「企んでいたのは迷惑な片思いだけじゃないだろう!」

「どういう事?」

「真実はアイツに直接聞いてみるか!」

カイエンはその場にあった尖ったガラスをバルマス国王に投げた。

すると投げたガラスは一瞬で粉々になった。

「やっぱりな!」

「バルマス国王!アンタ…誰だ?」

「おやおや悪魔が気づくとは」

「アンデットだ俺は!宗教が悪魔とつるんで何言ってんだ!」

「正体を見せたらどうだ?魔人族!」

バルマスの身体から山羊の様な角と翼に尻尾が生えバルマスの体から緑色の炎が吹き出してきた。

「私は魔人族にあらず…魔族だ!」

「魔族?」

「正確には私の異端なる子孫に宿った悪霊と言うべきですかな?」

「悪霊?」

「紹介しましょう。我が妹の血族に宿りし契約魔族!名は…サタン」

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