第90話 悲劇の根源
教祖ジルドレイに捕まり裸にされ両手両足を拘束されたアリシア。
「大体なんなの私がジャンヌだの身体に移すとか頭おかしい事ばかり抜かしてんじゃないわよ!!」
「ジャンヌ!貴女は我が愛すべきジャンヌ・ガネットに間違いない!」
「ジャンヌ・ガネットってそれ私の先祖よ!ジャンヌ・ガネットは初代勇者と結婚してガネット王国を作ったのよ!!」
「それが間違いですっ!!」
「え?」
「あの男は私がジャンヌに恋い焦がれている事を知っていた…なのに…あの男は裏切りっ!ジャンヌを奪った!お膳立てをした赤い獅子の獣も私が砕いた!私が宝石獣を飾り物にしてやった!ジャンヌを私から引き離した当然の報いですっ!!」
は?ちょっと待った!?今何て言った!?
宝石獣達を皆殺しにした黒幕なの!?
「貴方が宝石獣達を滅ぼす裁断をしたって言うのまさか!?」
「奴らは所詮石くれ。砕き飾るがお似合いです。所詮は石ころですから」
「そんな下らない被害妄想の腹いせに宝石獣達をみんな殺したの貴方はっ!!」
「邪魔をしたのは奴らだ!私にかかればあんな下等生物を操るなど容易いですから。私が作った剣のレプリカには奴らの思考を刷り込ませる事が可能なのです!ですが調べたらそれは消し去られてしまいましたが」
砕いた時にブラキオがきっとその術式を消したんだ。おそらく当時の三人はこれをゲームのコマンドかなんかと思って使い宝石獣達を集めたんだ。そして集めて目の前で砕いた。
「我が信者達の細工の腕は天下一品。奴らを飾り物にしばらまいて荒稼ぎしそれを担保に私はここまでの研究が進んだのです!素晴らしき贈り物は貴女がやはり1番ですジャンヌ!」
「そもそもどうして私がジャンヌなの!?初代ガネット女王はもうこの世に居ないのよ!」
いくら頭がおかしくても人の死くらいは理解出来るでしょ普通は!
「居ますとも。貴女が麗しのジャンヌです!」
「だから違うって言ってるでしょ!!」
「違わないですわ。ジャンヌ貴女は前世の記憶がまだ思い出してないだけなのですわ!」
「アイカ…」
「ジャンヌの魂はその異端者の身体に転生してしまったせいで前世の記憶を無くしたのです!」
「は?私がジャンヌの生まれ変わりって言いたいわけ!?」
「その通りです。ジャンヌ!本来なら私が作り上げたこの汚れなき肉体に転生し私と時を共にする完璧な計画だった。しかし、私が作り上げたレプリカは異端者と悪魔共に渡ったせいでジャンヌはそのような異端者に転生してしまった!!」
「貴方頭絶対おかしいでしょ!!」
どんだけオカルト地味た話してるのよ。
それでどうしてアイカが絡んでくるのよ。
「レプリカは本来は私とジャンヌの子供と子孫の為に作った物っ!!なのに…何故あのよそ者の子孫と愚かな下等生物共に渡っているのだ!あの剣があればジャンヌはいくらでも私の元に帰ってくるはずだったのに…」
狂ってるどうしようもないくらい狂ってるわ!!つまり何?この男の迷惑な片思いが今までの悲劇の大元の根源だったわけ!?
「私がジャンヌと結ばれる為に悪魔と契約したのももはや昔の事なり…よよよ…」
「悪魔と契約って…まさか魔人族をこの世界に招き入れたのはアンタだったの!!!」
「私はただジャンヌと恋い焦がれたかっただけです!新たな憑代を作りジャンヌを呼ぶ為にはかつて追い出した魔族の知恵が必要でしたから!」
前言撤回…全ての元凶はこの男だった!!
とんだ集落悲劇だ。読んでそのまま悲劇の寄せ集め劇…こいつはそれをやったのよ!!
「アンタって男は…醜くて愚かな本物の悪魔よ!!」
「私は夢を叶える為に。そう貴女と結ばれる
為に努力したそれだけです。全ては結果、こうして再び会えたのでようやく結ばれますジャンヌ!」
「アンタみたいな奴お断りよ!!」
「お喋りはそれくらいにして、さあジャンヌの魂を異端者の身体から追い出す神聖な儀式を始めましょう」
「そうでしたね!ジャンヌ〜貴女の貞操は私が正式な形で後ほどいただきますので。今は〜」
「ひぃっ!?」
ジルドレイは君の悪い笑顔でアリシアに近づいてくる。
「異端者の肉体とさよならをする為にその〇〇を散らしましょう。大丈夫快楽だけですから〜」
「い、嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
アリシアはあまりの恐怖にマナを爆発させ声が凄まじ響で建物中に響き渡る。
「何を嫌がるんですかジャンヌ!?快楽だけで子は出来ませぬから!」
「変態!ロリコン!変質者!爬虫類!ゴブリン擬き!近寄らないでよっ!!」
アリシアは泣き叫ぶ。
「大丈夫ですわジャンヌ。貞操は消えても新たな肉体で再び清らかになれますから〜」
「アイカ!貴女このまま私を殺す気なのね!」
「何のことかしら?私は愛する2人を巡り合わせただけですわ!」
嘘つけ!大方アリシアの魂をホムンクルスに入れたら残った身体を殺して王位を頂く裁断!この女が企みそうな事だ!
「さあ、ジャンヌ!貴女の偽りの貞操を散らしましょう!」
ジルドレイの手がアリシアの体に触れてきた。余りの気持ち悪さに背筋が異常に寒くなる。
「嫌!嫌!嫌よ!助けて…助けて…」
アリシアは泣き叫ぶ。
嫌よこんな気持ち悪い奴に汚されるなんて絶対に嫌よ!私は…私は…嫌よ…まだ…まだ…あいつに…伝えてないもん!!
「ジャンヌ〜」
「いっ…助けて…」
私の英雄(ヒーロー)!
「助けてぇっ!涼ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
ジルドレイが彼女の下を触ろうとした時。
ドカン!
鉄の扉が吹っ飛び涼が飛び込んで来た。
「何ごと!?」
「この芋っ鼻!」
ゴスっ!
「グハッ!?」
涼は渾身の力でジルドレイの顔面を殴り吹っ飛ばした。ジルドレイは壁に顔面からキッスし倒れた。
「ひっぐ…涼…」
「アリシア!大丈夫か?」
涼はアリシアを押さえつけてる足枷や手錠を壊そうとするが硬い。
「くそ!ちょっと我慢しろよ!」
涼の両手から熱が放出されその手で手錠に触れ溶かす。足枷も溶かすとアリシアを助け出した。
「もう大丈夫だぞ!」
「ひっぐ…馬鹿…馬鹿…来るの遅いのよ…私…もうお嫁に行けないわ…うわぁぁぁぁぁん!」
アリシアはよっぽど怖かったのか涼に抱きつきその胸で大泣きした。
「怖かったんだな!もう大丈夫だからな!」
涼はアリシアを抱きしめると頭を撫でる。
「ちっ!もうちょっとだったのに!」
「あ、泥棒女!テメェがいるって事はこれは魔人族の仕業か!」
「違うわよ!これはジルド教が勝手にやった事よ。私は関係ないわ!!」
「嘘並べんじゃねぇよ!みんな解ってんだよ!」
その通りだ。
「貴様…よくも私のジャンヌを奪ったな!」
「うわっ!気持ち悪っ!何だお前は!?」
「私はジルドレイ!ジルド教の教祖にして神の代行者にしてジャンヌの婚約者!」
「お前頭おかしいのか?」
「よそ者貴様に発言権があると思うかっ!?私が作った剣を勝手に盗んだ貴様ら異端者にっ!!」
「は?アンタが宝救剣を作ったのか?」
「きいぃぃぃぃ!汚れた名をつけるとは!貴様悪魔だな!ならば死が運命だ!!」
何を本当に訳の分からない事を言ってんだよ!?
「何だこいつ?マジでイカれてやがる!」
涼はアリシアに来ていたシャツを着せるとアリシアを抱きかかえた。
「ちょ!涼!?」
「何の真似だ?」
「決まってんだろ…逃げるんだよ!!」
涼はアリシアを抱えると逃げ出した。
「ああ〜ジャンヌ〜!!信者達よ入り込んだ異端者を浄化するのです!!」
ジルドレイは教会の中の信者達全てを涼探索に向かわせた。
「どうすんのよ涼!?」
「今宝救剣ないからな…」
「私も取られた!!」
「ならコハク達が見つけるのを信じて逃げるしかない!!」
「まて悪魔共!」
「うわ!来たわ!」
「とにかく逃げろ!」
涼はひたすら逃げ回る。しかし教会の中はまるで迷路だ。何処なんだよここは??
「涼!前からも来たわ!」
「やばい挟まれた!」
左右から信者達が武器を構えて突っ込んで来る。
「やっベー!!」
涼は声を上げた。
「2人とも鼻を摘んでろ!」
え?
涼とアリシアは鼻をつまんだ。
シェイク!シェイク!上がったぜ!
「スピリタス一撃!はっ!」
何か飛んで来て涼の目の前で爆発した。
これはお酒か??
茶色の霧が辺りを充満する。
信者達は1人また1人と目を回して倒れた。ウォッカスピリタスは世界で一番のアルコール度数の酒で下手に臭いを嗅ぐもんなら目を回す程の度数の高い酒だ。
「ぷはぁ!これって」
「2人共大丈夫か!!」
変身した信道が走ってくる。
「のぶさん!」
「遅いわよ信道!!」
「悪い悪い!」
信道は変身を解いた。
「何があったんだ?」
「ジルドレイに襲われたんだ!」
「ジルドレイだって!?蝦蟇爺が言ってたジルド教の教祖か?」
「あいつホムンクルスに意識を移して生き長らえていたのよ!」
「成る程な。これで繋がったな!」
「なんかあったのか?」
「詳しくは走りながら説明する」
「わかった!そらよっ!」
涼はアリシアをお姫様抱っこした。
「ちょ!涼恥ずかしいわよ…」
「いいから休んどけよ!!」
アリシアは真っ赤になった。
ドンドンドン!
「「「?」」」
どっからか音がする。
「何だ今の?」
「何かいるのか?」
「嫌な予感するが行ってみるか?」
「速く逃げるわよ!私ここいたくない!」
「気持ちは解るが裏が分かった以上ほっとけないだろ!!」
「それが戦隊だ!」
今は戦隊なんて言ってる場合じゃないわよ!馬鹿!
ドンドンドン!
「しかしなんの音だ?」
「ちょっと見てくる!」
信道が様子を見に行く。
しばらくして信道が戻って来た。
何か肩に乗せてる。
「信道大丈夫だったの?」
「ああ、音の正体はこれだ?」
信道がおろしてボロ袋から何か出てきた。
「んぐ!んぐ?」
両手両足を縛られて裸にされたルーガルだった。
「ルーガル!?」
「ちょ!何で裸なのよ!?」
「お前らもだろ?」
涼上半身裸。アリシアブカブカのシャツを着ていてすっぽんぽん。お馬鹿!解説しないで!誰に起こってんだよ?
「ぷはぁ〜助かりましたぞのぶ殿!」
「ルーガルお前なんで調理場でぐるぐる巻きにされてたんだよ?」
「危うく我輩食われる所だったんですぞ!」
「蜥蜴を食べるの…」
「ここの宗教どうかしてるな…」
「蜥蜴は調理難しいんだぜ」
「我輩死にかけたのに何という言い草!酷いですぞっ!!」
「いいから服着なさい!」
信道が宝救丁で人口宝石を使い服を出し着替えるルーガルとアリシア。とりあえず誰もいないから調理場に入った。
「三人とも絶対に見るんじゃないわよ!特に涼レディの裸をまた見るんじゃないわよ!」
「子供なんか見てどうすんだよ?」
ゴチン
「あいた!」
涼は瓦礫をぶつけられた。
「お馬鹿!!」
そう言うとアリシアは涼達の後ろで着替え始めた。
「今のはお前が悪い」
「いてーなたく…」
デリカシーなさすぎだお前は!
「しかし何でお前は簀巻きにされて料理されそうになってんだよ?」
「我輩だって危うく化け物の晩飯にされる所だったんですぞ!」
「化け物?」
「ここには何やら見たことない化け物がいるんですぞ!」
成る程その飼ってる化け物の餌にするために簀巻きされて料理されそうになって捕まったのか。
「とりあえずお前達が見つかって良かった」
「他のみんなは?」
「カイエンとコハクは一緒だ。今剣を探してるはずだ」
「リアが基地にいるみんなを呼びに行ったからもうすぐ来るはずだ」
「とりあえず皆さん無事なんですな!」
「後は俺達の剣を取り替えさないと!」
「俺達もコハク達に合流しよう」
信道はチェンジエッグな人口宝石を入れるとマップが出た。
「赤い無数の点滅が信者達で青い点滅がコハク達だ!」
「お待たせ着替えたわよ!」
「我輩も!」
「よしまずは皆んなど合流だ!」
「行きましょう!」
涼達は調理場を後にしコハク達と合流するために走り出した。
その先の怪物を見落として…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます