第85話 勇者の剣のおさらい1
テナルディエ・ガリウス卿が倒された。
涼達は宝石巨人達から降りて来た。
「貴様達よくもパパを!このままじゃ済まさないわよ!」
「それはこっちの台詞だ!お前らこそタダで済むと思うなよ!!」
「アイカもう辞めなさいよ。」
「五月蝿い。アリシア全てアンタのせいよ!パパが死んだのも私が王位を継げなかったのも全てアンタが産まれからよ!」
「馬鹿言うんじゃねーよ!全部自業自得だ!泥棒女!全部テメェが悪い!!」
涼は指を指しはっきりと言った。
「時期女王になんて口を開くのよ野蛮人!」
「全くアンタは救いようがないな…」
「どうして貴女はそんな愚かな人間に」
「愚かを通り越して…」
「ただの我儘…」
「それに暑化粧ですからな」
「いやそれは今関係ないだろ」
「救いようのない馬鹿だマジで…」
「「「うんうん」」」
満場一致だった。
「貴様ら今に見てなさいよ!パパを殺し私を侮辱した罪は命を持って償ってもらうわよ!」
「それはお前だ!」
今まで散々人の命を弄んだんだ。処刑されて当たり前の事を散々したんだ許されると思うなよ。
「きぃ!覚えてなさいよ!」
アイカは負け惜しみだけ言って消えた。
:
涼達の活躍でアンジェラ王国、アバロスも救われた。
その日の夜、アンジェラ王国の城にて涼達は女王に呼ばれ謁見した。
玉座ではアンジェラ十三世女王とガネット国王が待っていた。
「お父様!」
「アリシア!見事な働きだったぞ!」
「いえ私達は当然の事しただけです」
「静粛に」
アンジェラ女王が玉座を立つ。
「この度は魔人族による侵略を阻止して頂き誠に感謝致します。特に猿渡涼さん貴方には何とお礼を言えばいいか!」
「俺は今回なんもしてないぜ。これはみんなのお手柄だ!」
涼はそう言うと仲間達の方を向く。
最初はバラバラだった。種族もチームワークも更には敵味方だった。でもみんなが勇者に選ばれこうして人を助けている。これを戦隊と呼ばずして何というか。
「いや涼のおかげだ!」
「そうですよ涼さん!」
「僕達に生きる気力とチャンスをくれた先生こそヒーローです!」
「お前達だってもう戦隊だろ!」
涼は笑顔で和樹達の肩を叩き褒め称える。
「猿渡様!」
「様?」
「はい、猿渡様には我が国を二度も救って頂きました。つきましては猿渡様達の活動に協力をさせて頂きたいのと、猿渡様に爵位を授与させて頂きます!」
「しゃく?まあ確かに泥棒女を逃したのはしゃくだよな〜」
「違うわよお馬鹿!涼。貴方貴族になるのよ!」
「貴族!?」
「はい!猿渡様の今後の為に是非爵位を…」
「いらねえよ。そんなもん」
「そうですか!いらないのですか…え?」
「「「「「「「「「はーー!?何で!?」」」」」」」」」
一同声を上げた。
「ちょ涼!気は確かかい?」
「涼殿!貴方は貴族になれるんですぞ!」
「貴族は王様に認められてなれる功績だぞ!」
「断る理由があるんですか?」
「あるぜ勿論!」
「何だよ理由は?」
「俺は俳優になるんだ!こっちの世界にはいられないんだ!」
「俳優?涼は俳優を目指しているのか?」
「ああ!まずは戦隊の役を勝ち取りたいんだ!それをするには貴族は邪魔だからな!」
「つまりお芝居をする為にいつか帰るから要らないって事!?」
「そうだ。全てが終わったら俺はまた役者の道に戻るからな!それにそんなもんは戦隊には必要ない!」
そうだ、俺は俳優になる為にまだ下積み中だ。それを越えた先にきっと戦隊ができる!まずはそこからなんだ。だからいつか俺は元の世界に帰るんだ。必ず!
「てわけだ!協力はありがたく思うからそっちはOKだ!でも貴族はいらん!」
「先生らしいですね!」
「どこまで真っ直ぐな人だからな!」
「うんうん!」
納得する三人と…
「涼ってやっぱり馬鹿?」
「馬鹿だろ」
「筋金入りのね」
「ですね」
「今に始まった事かよ」
「おめでとうございます涼殿!」
「お前は話聞いてたのかよ!!」
もっと馬鹿がここに居た!
「そうですか。猿渡様はいつか元の世界へ帰られるのですね?」
「そりゃまあな」
まだやり残した事があるんだから。
「ではせめて帰る前にこちらで家族を作っていかれたどうでしょうか?」
「家族?」
「はい、つきましては猿渡様に我が娘の花婿になって頂きたいと思うのですが!」
「は?花婿誰が?」
「お前だよ!」
「俺なの!?」
「どんだけ鈍いのよ!!後絶対駄目だからね!結婚なんて!!」
「しねえよ。何で結婚しなきゃいけないんだよ。相手もいないのに」
カチン💢
「馬鹿!」
「いってぇー!」
涼は足を踏みつけられた。
「猿渡様にはどうやら結婚は心配ないみたいですね」
「は?」
「アリシア姫。捕まえたいなら必ず世を平和にし自由を勝ち取りなさい」
「へ、陛下!!」
アリシアは真っ赤になる。
女王には全て見透かされている。
何をだ?
五月蝿いわよ!!回想シーンで怒鳴るアリシア。
「でわ陛下失礼いたします!」
アリシアは挨拶をして涼を引っ張りさっさと玉座を後にする。仲間達も後を追っていく。
アンジェラ女王は笑いながら見送った。
:
基地に戻った涼達は全員基地の大広間に集まり今後の事などの話し合いを始める。
「さて、これからの事を話す前に改めて勇者の剣のおさらいをしたいと思います!」
マナリアとベルがホワイトボードに書きながらそう言った。
「おさらいって言ってもな〜」
「なんか今更だな」
「あ、でも意外と知らない事もあるかもしれない。のぶや三人の剣とかさ」
「それは言えるな。確かにお前達に宝救丁を詳しく話した事無かったな」
「俺達は受け取ってまだ日が浅いからベルに聞いてくれ」
「だったら三人が前に持ってた剣も聞きたいでありますよ!」
「あ、それならわかりますね!」
「ドクターからなんか色々聞いたもんな」
こうして考えると勇者の剣こと宝救剣を始め宝救丁 宝救聖剣 真宝剣と色々あるよな。
共通装備は勇者石くらいだしな。
「でわ剣についておさらいであります!涼さん宝救剣を貸して欲しいであります!」
「おうよ!」
涼はベルに手渡す。
ベルはホワイトボードのパネルのスイッチを押すとホワイトボードはたちまち液晶画面に変わり宝救剣を現れた台座に置くとホログラムが現れた。
「まず勇者の剣事宝救剣は調べた所によると姫様の剣の複製品に当たる代物であります!」
「今思うと誰が作ったんだ?ブラキオか?」
「我は宝救聖剣しか生み出してないぞ」
「お前じゃないのかよ?」
「ああ、確か頭のおかしい人間が作った」
「頭のおかしい人間?」
そんなイカれた奴が作ったって言うのか?まさかな。
「製作者はジルドレイだ」
「アレ?蝦蟇爺さん居たのかよ!」
「が、蝦蟇爺さん!?」
「呼びにくいし蛙だしいいだろ!」
「よくない!仮にもワシは初代勇者だぞ!」
「まあいいじゃないかよ蝦蟇爺」
なんて失礼な奴じゃ…これが勇者か本当に…
「で、ジルドレイって誰だよ?」
「ジルドレイってジルド教の神父よね」
「ジルド教?」
「うん、アバロスの先にある国の国教よ」
「でも確か頭のおかしい連中の巣窟になってるカルト集団って話だ」
「そんな奴か作ったのかよ?」
「正確にはその神父の初代が作ったんだ」
蝦蟇爺曰く(もはや定着か…)初代勇者の仲間の一人だったらしく暗い印象ながら優れた腕の錬金術師で人口宝石を発明したのも彼でありそれらと当時いた宝石獣の身体の一部を貰い受け製作された複製が今の勇者の剣6本である。
「暗いながらも最初はまともだったんだかな…」
「蝦蟇爺さん?」
蝦蟇爺は黙り始めた。どうやら昔何かあったらしい。
「おほん!昔話はそれくらいにしておさらいの続きであります。まずは基本であります。
勇者の剣にははめ込んだ宝石の属性を具現化させる力があり、予め組み込まれていた術式を発動させる事が出来るんであります。」
「つまり勇者石と人口宝石と普段使ってる宝石ですね!」
「今思うとあの宝石はどこから?」
「確かに変身するといつのまにかあるよな」
「確かに」
「それはな、剣には当時生きていた宝石獣達の身体が使われているからだ。変身すると装備の一つになり一時的に使えるようになるのさ」
ブラキオが説明した。
「だから変身解くと消えちゃうんですね」
「長い事使っているのに知らなかったぜ」
「君が疑問に思わなかっただけだろ…」
涼の方が先に使っていただろうに。
「更に涼さんがきっかけで勇者石に変化が起きて本来なら鎧のみのはずがフル装備になったであります」
「俺がきっかけ?」
勇者石には本来、勇者を守る為の防具が一式入っているが、涼が関わった事で変化が起き変身要素に変わったのだ。それがあのスーツとブーツにマスクだ。
「スーツは並のサーベルではビクともしない硬さと柔軟性に鎧は皆さんの宝石と同じかつ強度を高めにししなやかで動きやすさや更にパワーアップする術式がかけられた一品なんでありますよ!調べたら!」
「あのマスクには何でか簡単な分析機能と液晶画面が浮かぶんだよな」
ゲーム画面見たいな感じのアレだが。涼達は慣れたので視野を広げる機能くらいしか使ってないか。
「確かに分析機能はあまり使った事ないですね」
「勿体無いでありますね。剣に勇者石をはめ込みパネルを出せば変身せずとも使えるでありますのに」
「様々なデータが記録されていて僕達も良く使いましたよね」
「そうだったな!」
「ベルちゃん俺達の剣にも付いてるよね?食材を調べるのに使いたいんですよ!」
「ちょ待てや!変身しなくても使えるのか!?」
「ああ」
和樹達は元勇者だ。そりゃ涼達が使った事ない機能を知っているはずだ。
「先生まさか知らなかったんですか?」
「初耳だ」
「勇者の剣は世代が変わると機能も変わり追加されて行くからな」
「こらブラキオ俺達そんなの聞いてないぞ!」
「聞かなかったからだろ!」
「この野郎!」
「やめなさいよ!」
アリシアは止めた。
「それから剣にはめ込んだ宝石の硬度をプラスしてサイズの縮小する機能もある」
「なんだよそれ…つまり刃先を自由に変化できるのか!?」
「はい!刃の先を二股にしたりと大きさを自由に出来るんですよ!」
「お前達…何でそれを早く言わない…」
「てっきり知ってるかと思っていたから」
「はい」
「僕もです…」
「さいですか…」
どんだけ知らないんだよ俺…
「もの試しだな」
涼は自分の剣を取り勇者石をはめ込み石に軽く触れると液晶パネルとキーボードが現れた。
「本当だ」
涼は画面を消して今度は剣を細くしてみる。
和樹曰く如意棒みたいにやればいいらしい。
未来でも西遊記はあるんだな。
念じてみると宝救剣の刃が細く鋭くなる。
「本当に細くなった!!」
「凄いな」
これは意外と使えそうな機能だな。
「判らないのは何故手から離れたら直ぐには戻って来ないかって事であります」
「お祖母様なんか知らないんですか?」
「私も知らないわね。これは昔からある機能だから」
「ブラキオお前が組み込んだのか?」
「違うわ!」
「爺さんか?」
「ワシでもない」
じゃあ誰だよ?こんな機能付けた奴。宝救剣は何故かある程度離れると持ち主の手には戻って来ない。何でこんな変な機能を取り付けたんだ?
「まあ大体の機能はそんな感じでありますね。次はのぶさんお願いしたいであります」
「よっしゃ。じゃあ次は宝救丁を説明してやるよ!」
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