過ぎゆく時間と消えゆく命

住宅街を運転していると、時折、『〇〇家』という葬儀案内看板が目に映る。


ああ……、また、誰か死んだな……。


人間は、ある日突然、この世に生を受け、生きている時間を、歳を重ねながら過ごし、やがて死ぬ。

どんな人間の命が消えたのだろうか?

そいつは、いったいどんな人生を送ったのだろうか?

そもそも自宅で葬儀告別式をする時点で、それなりの人生だったのではないかと推測してしまう。

私が死んでも、人知れず、行政機関と遺品整理業者によってお片付けをされるだけなので、誰かが私の死の情報を知ることはない。


死ぬまでに何ができるのか?


葬儀案内の看板を見る度に思う。

若くして、生きる意味・気力・目的・希望を失った私には、もう何の可能性もない。

大切な1分1秒を無駄にすることしかできない運命が悔しい。

全ては神の領域、人間の力ではどうすることもできない。

たまにいるんだよね、「幸せな人生だった……」という言葉を残して死ぬ奴が……。

信じられないよ。


誰かが生まれ、誰かが死ぬ……、そうやって人類は命を繋いできた。

私の命も終盤に差し掛かっている。

子供がいない私には、命のリレーは無い。

この人は、命のリレーを終えたあとだったのか……、見ず知らずの私には知る由もないことだ。

ああ……、過ぎゆく時間と、消えゆく命……。


この人は、昨日まで生きていたのに、今日はもう、生きていない。

この人は、昨日まで生きていたのに、今日はもう、生きていない。

この人は、昨日まで生きていたのに、今日はもう、生きていない。

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