白線が磨り減るのと同じように
ここは片側一車線の道路だ。
中央には白線が引いてある。
当然のごとく、その線が、こちらと対向車線を分けている。
あの線は短期間で消えるものではない。
かなりの年月をかけて、数えきれないほどの車があの上を横切らない限り、消えない。
だけど、あの年は、たった3ヶ月で消滅した。
白線の角の部分が、かろうじて残っていただけ……。
あの年は、連日の大雪……。
太平洋側に住む人間には全くわからない話だと思う。
除雪グレーダ、除雪ドーザなどのブルドーザーが、ほぼ毎日のように、道路に積もった雪を力強く排除していく。
ただ、それと同時に、白線も削っていく。
その結果が、そのザマだ。
私の精神も削り取られている。
それほど私にとって、家族なし、友人なし、恋人なし、結婚なし、子供なしの人生はショックだった。
何をもってそういう人生が確定するか?と言えば、主観的な話でしかないけど……、その瞬間って、わかるんだよ。
こういう人生を送っていればね。
そうなったあとの人生は惰性でしかないから、ただ何もできずに削り取られていくだけ……。
もう、死ぬまで止められない。
残された結末は、自殺と殺人だけ……。
私も、あの年の白線のように、かろうじて残っている。
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