私を拒む水壁

信号の無い交差点で右折待ちをしていた。

雨は止んでいた。

さっきまで、とんでもない量の雨が降っていたのに……。


ここは片側一車線の幹線道路だ。

交通量が多く、終日、車列が途切れることはない。

交差点の真ん中付近には、大きな水たまりがあった。

その上を1台、また1台と……。

対向車が通り過ぎていく。

その度に……、上に向かって直角に水しぶきが上がる。


ああ、イライラする。

いつまでたっても右折ができない。

なぜ、水の壁を作ってまで私の進入を阻む?


いつしか精神世界にいざなわれる。

なぜか私は、鬼畜犯罪者の集団の中にいた……、この集団の男たちが、1人の女をレイプしていた。


1台、また1台と……、対向車が通り過ぎていく、水の壁を作りながら……。

「どうだ?やりてえか?お前にはやらせねえよ、この童貞クズ野郎が……」

1台、また1台と……、対向車が通り過ぎていく、水の壁を作りながら……。

「お前、男性機能が無いんだってなぁ、何のために生まれてきたんだぁ、この生涯童貞クズ野郎が……」

1台、また1台と……、対向車が通り過ぎていく、水の壁を作りながら……。

「お前の番は、いつまでたっても回ってこねえよ」

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