おおいぬ座VY星と私の人生
おおいぬ座VY星は寿命が近づいている。
『宇宙で最も大きな星』という肩書で有名だった星だ。
この星を太陽の位置に置き換えると、その大きさは土星の公転軌道にまで達するという。
時間の経過とともにその質量は大きく失われたとされているが、実際のところは誰にもわからない。
私が言いたいのは、これほど大きな星が超新星爆発を起こして死んだとしても、地球に住んでいる人間にはわからないということだ。
そう……、遠いからね。
私の人生も、地球に住んでいる人間たちからは遠かった気がする。
私の国、日本に住む日本人は、自分さえ良ければ他人がどうなろうが知ったこっちゃない民族だ。
おまけに、恵まれた環境でヌクヌクと生きてきた被害妄想者と、不幸の背比べをして意地でも勝とうとしたがるクソガキしかいない。
私は、生涯を通じて、この世に会話の相手とメールの相手が1人もいなかった。
どれほど繋がりを求めても、あまりにも遠かった。
私が自殺をしても、社会には何の影響もないだろう。
それどころか、誰かの一人の脳裏をかすめることもできないだろう。
おおいぬ座VY星の消滅ですら、そんな扱いなら、小さくて遠い私の存在なんか、初めから認知すらされていない。
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