最後の太陽
あれは私が長期入院をしたときのことだ。
病床に差し込む光を見て、思うことがあった。
私が見る最後の太陽は、西暦何年の何月何日になるのだろう……。
私はこれまでに、数回、入院している。
この世に誰もいない私は、部屋の中で倒れたら、もう、その時点でアウトだ。
助かることはない。
今までは、いずれのときも、外で倒れたから救急搬送されている。
病院は牢屋と違って、とても孤独だ。
これは、私と同じ天涯孤独で、元受刑者という肩書が付いた人なら、同じ意見だと思う。
だから、病院は耐えられない。
まぁ、このとき以外は、毎回、すぐに脱出してるけどね……。
日が沈む前の、緩やかなオレンジ色の光は、とても虚しい。
総合病院の大部屋に居たので、それが人生最後に見た光だった高齢者は、たくさんいたと思う。
私が、もし、人生最後の光を見ていたら、何を思うだろうか……。
人生で、ほんの数時間しかない、恋の記録を思い出すような気がする。
私の全てだったからね。
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