負けない 【詩】

「また、負けた……」

ここは片側2車線の道路だ。

考え事をしながら運転している。

この世に平等なんて言葉は存在しない。

このえげつない競争社会では、勝つか負けるかしかない。

しっくりこないのは、スタートラインが人によって違いすぎるから……。

一生かかっても、他人のスタートラインに届かない人がいる。

私は、どうして負け続けるのか?

ウィンカーが光った。

私の前に入るつもり?

もう、譲らないよ。

昔、譲ったことあるんだ。

死ぬほど辛かった……。

死ぬほど辛かったんだよ。

何年も何年も、頭から離れない。

だから、もう、譲らない。

あんな辛い思い……、二度としたくない。

アクセルを思い切り踏んで、入れなくした。

ブー!おもいきりクラクションを鳴らされた。

でも、仕方ない。

あんな辛い思いをするくらいなら、死んだ方がマシ。

そいつは私の車の後ろについた。

バックミラーを見た。

そこには、怒りと憎しみの顔が映っていた。

私は、ごめんなさい……という感情と、殺すぞこのクソガキが!という感情が入り混じっていた。

もともと、日本人は自分さえ良ければ他人がどうなろうが知ったこっちゃない民族だ。

私は日本人だ。

ただ、日本人らしく、振る舞っただけ。

負けるわけにはいかないんだよ。

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