11-2-4
~11-2-4~
床に転がった物の中から手近なMPを引き寄せマガジンを撃ち尽くすつもりで牽制射を行う。恐らく微動だにするまいとは予想していたが実際に応射も移動する足音も聞こえないとなると此方の焦燥は高まる一方である。
ふと視界に踊り場の天井を捉えた。簡素なシャンデリア、小振りだが硝子の装飾著しい。値段の事は考えずルガーを構え固定している金具に狙いを定めて三度引き金を引いた。刹那に駆け出す。硝子のくだけ散る音けたたましい。
呻き声の聞こえない辺り直撃こそしなかったようだが、壁から身を離す気配は確かに有った。踊り場の一段手前まで駆け降りた私は勢いそのまま壁越しにグロックの引き金を振り絞った。
階下から聞こえる着地音、どうやら相手が此方の狙いに気付く方が早かったらしい。慌てて腕を引っ込めると再び独特な発砲音が響く。金属的と言うよりも寧ろプラスチックを叩き合わせたような音が連続している。やはり聞き覚えは無い。
足元に散らばった硝子片を手に取り反射で敵の姿を除き見んと試みる。踊り場の窓から差し込む陽当たりの加減は私に味方している。既に此方に背を向けている相手の風貌を窺い知る事こそ出来なかったが、流血している右腕には確りと大戦の遺物が握られているのが見て取れた。
~13-4~
勢い良く開け放たれたドアから差し向けられていた物がまさに其れだった。彼を右脇に抱え込み自身の身体ごと投げ込むようにしてカウンターの中に身を隠す。その間にも銃声は響き続け耳先を銃弾が掠めたのがはっきりと感じ取れた。脹ら脛にも激痛が走っている。
しかし痛みの在処を確かめるよりも応射するよりも先に自身が為すべき事を弁えている。脱力し俯いたまま抱えられている彼にこの上無い焦りを感じ呼び掛ける。返事はない。
その背中には、スカイブルーのシャツを染め上げる赤黒い染みが
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