第24話:二次会 (ソウジ・ティア)
一旦食後の挨拶をし、あとは自由にしていいと伝えると……セリア達五人はもう疲れたというのでお風呂に向かわせ、エメさんは使った食器類を片付け始め、それを見たリアーヌさんは勿論ミナとマイカも手伝いに行き、セレスさんはお願いしていた仕事をする為に部屋を出て行ってしまった。
別に今すぐじゃなくてもいいと言ったのだが
『いえ、これは出来るだけ早く終わらせるべき仕事です。いくら旦那様のお言葉とはいえ従えません』
と言われた。あとで残業代プラスしとこ。
ちなみにミナとマイカが皿洗い等を手伝っているのはセリア達の代わりと単純に女子会の延長である。本来それはセリア達メイドがやるべき仕事なのだが、五人は明日から仕事を開始することにして今日はもう休ませることにしたのだ。
その為どうせ今回使った物は全部軽く水で流して食洗器に入れるだけというのもあり自分でやろうとしたら全力でエメさんに止められた。ということで残った俺とティアは邪魔にならないようソファーに移動し、二次会を開き始めた。
「お前一応メイドだろ? 酒なんて飲んでないで一緒に仕事してこいよ」
「いくらキッチンが広いとはいえ五人もいたら邪魔じゃろうて。それにわらわはソウジの専属メイド、お主の相手をするのも立派な仕事じゃぞ」
「上手いこと言いやがって。だいたいお前家事とか出来るのか?」
「わらわは420歳じゃぞ。それくらい余裕で出来るわい。今のところやる気はないがの」
ミナさーん! 今すぐこいつの役職をニートに変えてくださーい!
「そもそもわらわの本当の仕事はお主の専属メイド……つまりは護衛。じゃから家事が本業ではない」
「えっ、なにそれ聞いてないんだけど」
「そりゃ~、今初めて言ったからのう」
「じゃあミナの専属メイド兼俺の専属メイドでもあるリアーヌさんも護衛なのか?」
正直ティアが護衛なら俺が仕事をサボっても怒るどころか喜んでついて来そうだけど、リアーヌさんがずっと傍にいたんじゃ絶対にサボれないぞ。
「いや、あやつはお主の身の回りの世話が主な仕事じゃな。といってもそんな硬いものじゃなくお茶を入れたり、何かある時に身だしなみを整えたりするくらいじゃが」
よし、仕事サボろ。
「ちなみに俺の護衛ってどんな感じでやるんだ?」
「う~ん? まあ公の場に出る時じゃとか、お偉いに会いに行く時じゃとかは着いて行くつもりではあったが普段は適当かのう。もちろんお主がついてこいと言うのならついて行くがの」
「そんな適当でいいのか? 俺は助かるけど」
「な~に、お主が死なぬ限り腕が一本無くなろうが体に傷を付けて帰ってこようが、わらわは何も気にせん。ただ顔に傷を付けるのと、外で女を作るのだけは止めておくれよ。そんなのがバレたらミナとリアーヌに何を言われることやら」
女は分かる。俺がこのまま国王になればハニートラップなんかも可能性はなくもない。それで責任問題とかになったら最悪である。だが……
「なんで腕はよくて顔は駄目なんだ?」
「別に腕は一本なくなってももう一本あるし義手なりを付けて長袖を着れば良いが……流石に顔は変えられんじゃろ? それにもし顔に消えぬ傷なんてつけおったら一生目立つぞ」
俺一人だけ知ってますよ。自分の顔をお腹が空いてる人に食べさせてあげたり水に濡れると力が出なくなって、新しい顔に付け替えると元気百倍になる人型の何かを。
「いや顔も嫌だけど、腕の方がもっと嫌なんだけど」
「じゃがそんな無茶が出来るのも若いうちだけじゃ。それに腕一本分の
「まずはそうならないこと願ってくれよ」
まあ戦闘時にはオートバリアを使う俺には一生関係ない話だろうけど……。
「それよりさっきの話の続きだ。なんでセリアまでマイカ達と同じくらい汚れた服を着ていた?」
「ああ、その話はまだじゃったな。それは何が目的かも分からん男がいきなり乗っ取り宣言をしたかと思えば本当に実行しおった挙句、この国の城に来るとか言い出したからじゃろうが。一応セリアは前国王の娘じゃからカモフラージュの為に急いで着替えさせたんじゃ」
「それは悪かったな。それで、あの時城内にいた奴らでセリアのことを知ってた人は何人いたんだ?」
「セリア本人によるとセレスとエメの二人じゃけらしい。それにミナが面接で全員に『前国王の一人娘の顔を見たことがあるか』と聞いておったから大丈夫じゃろ」
「なら今のところは問題ないか……」
もし二人以外は誰もセリアの顔を知らないなら偽装死もありだな。
セリアについての話が終わり、俺とティアは適当な話をしながら酒を飲んでいると……片付けが終わったらしくミナ達がキッチンから出てきたので
「お~い、リアー! ねえ、無視しないでよリア~」
「え~と、もしかして私のことでしょうか?」
「リアっていったらリアしかいないだろ」
「リアーヌよ……。こやつ、少し酔っておる様だから合わせてやれい」
う~~ん。この後アベルと飲む約束をしてるからあんまり飲まないように気を付けてたんだけど、確かにちょっと酔ってるかもな? でもなんか楽しいからいいや。
「なるほど、そういうことでしたか。それでご主人様、何か御用ですか?」
「ああ、片づけが終わったばっかりで悪いんだけどセレスさんにお茶か何か持っててもらっていいか? あの人今一人で仕事してるからさ」
「はい、それは別に大丈夫ですが……なんで私のことをリアとお呼びしたのでしょうか?」
「う~~ん? 何でってリアがさん付けするなって言うからじゃん」
「酔ったソウジ様はいつもと態度が違って可愛いですね」
「ミナよ。だからといって頻繁に酒をこやつに飲ませたりするでないぞ」
「分かってますって。それにそんなことしたらリアーヌに怒られそうですし」
「お嬢様のお気持ちも分かりますが、ご主人様の体調を管理すのもメイドの仕事。過度な飲酒は認められません」
なんかこのままだとアベルが来る前に止められそうだな。適当に話をずらすか。
「四人はこの後どうするんだ?」
「私達はお酒っていうよりはお茶しながらお話ししたいねって話してたところだよ」
ナイス情報だマイカ。あともう少し酔ってたら頭を撫でながら褒めてたレベルだぞ。
「それなら一階の一番奥にある部屋で和室って部屋があるからそこを使うと良いぞ。流石にまだ寒いから外には出れないだろうけど、部屋の中からでも日本庭園が見えるように窓が付いてるから一回行ってみ」
ちなみに俺は正座が大っ嫌いなので堀りごたつ式のテーブルを採用している。なので正座の文化がないマイカ達でも問題ないはずだ。
とか考えてるうちに四人は和室に興味を持ったようなのであの部屋に置いてある急須と日本茶の入れ方の知識を四人全員に渡し、ティアと二人で見送った。
「お主、ワザと和室とやらの部屋を教えたじゃろ」
「だってまだ全然飲んでないのに止められたら嫌だもん」
「全然って、もう十分酔っておろうに。後でリアーヌにバレて怒られても知らんぞ」
「いつもならまだ全然酔わない筈なのに……なんでだろ?」
やっぱりこの世界の酒と日本の酒じゃあ度数が違うのか? これ以上飲んだらアベルが来る前に酔い潰れそうだからちょっと休憩しようかと思ったのだが
「お~い、来たぞ坊主! 二次会の始まりだ‼」
「よっしゃ、ここからが本番だぜ‼ 今日は飲むぞティア、アベル!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます