第136話「150と言う数字」*
「ふむ」
150話と言われても物語の中の人間である俺にはあまりピンとこない。
「だが、こういう時は創作モノなんかだと『150話記念』だとかなんとかで特別編をやったりすることもあるな」
突拍子もない超展開だとか、世界観ぶち壊しのまるっと別世界舞台の話だとか。
「記念と言うなら100話とかの方がキリもいいし適してるとは思うが」
備えねばなるまい。せっかく教えて頂いたのだ。何が来ても動じないようにせねば。
「こう、俺の記憶でよくあるのはリアルの季節に応じた番外編とかだな。ファンタジー世界なのに竹を切り出してきて短冊飾って七夕だとか、異世界で元の世界の宗教は存在しないのにクリスマスとか」
読んでる方は季節にそぐうのかもしれないが、物語の中の人から言わせてもらうと、七夕から数週間しかたってないのにクリスマスなんて状況に遭遇してしまって、季節感ってなんだっけって事になったりするわけだが。
「いや、バレンタインで俺がモテモテなんて展開はそれなりに歓迎なのだが」
前世で読む立場だったころ、ぶっちゃけあの手の季節モノの特別編と言うのは正直言ってあまり好きではなかった。
「特別編やるなら物語の続きをもっと読ませてくれと言うか、な」
前世が地球の人間からすると久しぶりにあちらの文化に触れられるし、悪いところばかりではないのだが。
「さて、メタ発言っぽい流れはこれぐらいにして――」
俺は意識を内に傾けた。150話が近いことを知ったのは頂いたコメントからだが、その時他にもコメントを頂いていたことに気づいていたのだ。
『ノワン公爵さん可哀想。バカボンもした事といったら、主人公に理屈で追い詰められて家名を出した位。動揺した主人公の、思考時間を稼ぐ為の八つ当たりの犠牲になった様にも見える。ただの物知らずなだけの可能性もあるので、主人公の再教育で矯正可能にも見えるので、もうワンチャンあげて欲しいかな』
「ふむ。あの公爵と息子の擁護、か」
思い返すと確かに、八つ当たりっぽかったような気がそこはかとなくするような気もするが。
「物知らずにしてもな、士官学校に入学可能と言うことはそれなりの年齢な訳だ。ここから矯正できるかと言うと……むぅ」
厳しいような気もするが、他ならぬ読者の方からのリクエストだ。コメントで助けて頂いている身としては、考えねばなるまい。
「とは言うモノの、俺にケンカを売って入学をふいにしたあいつが再び入学を希望するようには思えんのだが」
読者の視点と言うことで、俺の知らないあのバカ息子の動きが見えているということなのか。
「それならそれでいろいろ考えておくべきだろうな」
何か仕掛けてくるかもしれないと知れたのだ。情報をむだにする気はないのだから。
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