伊邪那美命5
それは、お供の者が倒されたための涙なのだろうか。
それとも、己の為のものだろうか……。
だが、真相は分からない。それによる結果だけが残酷なことを告げていた。
天狗の唱える術の声、金棒を振り回して迫る大鬼。いずれもさっきと同じ行動。
だが、その光景は違っていた。
「見て! あれ!」
詠唱破棄の祝詞を唱える事もせず、
天狗が一体、大鬼が一体。地面に伏せたままだった。
それは、
「そうか! 戻ったんじゃねぇ! 甦っただけだ!」
大鬼を引き付けながら、
「今度はウチが誘導するわ! 止めはまかせるわ!」
天狗を沈黙で封じ込め、
「うん、うん。いい感じだよ、
全体に生命力減少の呪いをかけた
「油断しちゃダメ! 気合入れていくわよ!」
そして戦いは一方的な戦いとなっていく。
「奈落閃」
その瞬間、
だが、その涙に答えるものは、もうどこにもいなかった。
「あとは、
闇の中に包まれていく
「ああ、あの人の子……。私を一人にする……。憎い……。憎い……。憎い……。憎い……。憎い…………」
「お嬢、コイツはやばいぜ!」
刹那の浮遊。そして、落下。闇が皆を引きずり込む。
何もかも飲み込むかのように。
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