この空の果てで、きみに、歌を。

作者 いっさん小牧

★3つでもまだ足りない

  • ★★★ Excellent!!!

 つい先ほどラストまで読み終え、これを書いています。
 読み終えてしまった。終わってしまったのだなぁというクールな解放感とともに、なぜか大きな喪失感も覚えています。今この胸の中に渦巻く様々な感情を、正直、どう表現すればいいのか全く見当もつきません。ありきたりな言葉を使わせていただくならば、静かで、そして深い感動に満たされています。


 「永遠の命を手に入れ、宇宙の果てを目指す」という途方もない着想とスケールで展開される本作品は、生きた人間の魂そのものを描き出した、まごうことなき傑作文学です。
 想像のできないものを想像するのがSFとはよく聞きますが、そういう意味でも本作品は間違いなくサイエンス・フィクションでありますし、広大無辺な宇宙を舞台にした、スペース・ファンタジーであるともいえるでしょう。何より全編を通じて突き詰められる哲学的テーマへの言及――これはスペキュレイティヴ・フィクションとしての側面も極めて強いといえます。


 読んでいる間、それこそ様々な先人が手掛けたSFの名作を連想しました。
 具体名を挙げればきりがないのですが、それらの連想とはあくまでも通過点でしかなく、読めば読むほどに、本作品が「前例のない、きわめて革命的な試みへひた走ってゆく小説」であることがわかっていただけると思います。


 正直申し上げて、こんな小説読んだことがない!

 こんなにも心を掴まれ、魂を揺さぶられるような体験をしたのは初めてかもしれません。
 今はただただ、本作品に出会えたことを嬉しく思うとともに、カクヨムというSNSがあったからこそ辿り着けた世界だったという「偶然」に感謝しています。ほんとうに、偶然見つけた作品で、ここまで心を揺さぶられるとは思いませんでした。何か「運命」めいたものも確かな手ごたえとして感じています。

 不思議なことに、この「運命」――「縁」と言い換えてもいいかもしれません――は、本作品内で描かれている大きな命題の一つでもあります。言ってみれば、「出会い」という偶然すらも「運命」という名の必然に組み込まれているような……。自分自身の心を内側から見ているような、不思議な感覚でした。


 それにしても本当に面白くて深い深い作品です。
 あと何ページ読めるのか、終わってほしくない、続いていってほしいと思いながら、毎日一章ずつゆっくりと読んだのですが、それでもいざ読みだしたらページを手繰ることすらもどかしいぐらいの勢いで追いかけてしまいました。こんな読書体験、滅多にできるものではありません。


 そして、宇宙に終わりがあるように、物語にも終わりは必ず訪れます。
 私が辿りついた、物語という名の「宇宙の果て」――。
 それはこんなにも豊かな感動を与えてくれる温かなものでした。
 しかして、カクヨムの評価上限が★三つなのが実にもどかしい!
 入れられるのであれば「10の100乗」、★を入れたい……!

 心からそう思いました。

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