些細なプレイスメント

 びんの外観が無事に依頼者クライアントの醤油瓶へと差し変わっているのを確認し、依頼者にお礼を言ってから電話を切る。配信動画のアリーナが醤油で盛り上がるなか、笠さんが珈琲コーヒーを片手に笑いかけてきた。

「あとは効果を期待だね」

 これが倉内さんトコの新商品プロモーションに繋がればいいんですけれど。

「あら、自信ないの?」

「そんなコトはないですよ」

 レクチャーも受けましたし、アルトさんが寄越した分析結果に基づいてますし。

「倉内醤油さんのECで使えるクーポンコード付きなんでしょ。いいね、QR。らくちん」

「ただ、こういうのって水物っていうか、フタを開けてみないと、どうにも半信半疑じゃないですかー」

 と、自分の肩を軽くもみほぐしながら答えた。

春原すのはらさん。それでも、これは切り口がゲームってだけで、これ自体はよくあるプロダクトプレイスメントの手法です。あとは配信者と《クライフ》の波及力を信じましょ」

 ありがと。ジン君は優しいね。

 そしてすぐ顔が赤くなる。

「ねぇチヅちゃん。これからは、こういうゲーム内広告がもっと活発になのかな」

「あー、それは……」

「それは?」

 ——答えようとして、なんだか答えづらい質問。

 歯切れが悪い意見が出そうで、口元がむにゅっとしてしまった。

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