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「そろそろ、約束の更新時間ですよ」

 私が目の前のふたりに声をかけた。そのふたりは同じタイミングで気楽にうなずいてみせる。

「順調順調。テストも問題なし」

「いつも通りですよ」

 その言葉を聞いてから、私は先日のカイさんのように端末から《クライフ》にログインした。交流言語は『日本語』を選ぶ。

 目の前で、私の画面がテキストで雄弁ゆうべんに《クライフ》を語っていた。


『ようこそ。あなたと世界が交差する空間へ』


 言い切っちゃうんだよね、この子。

 私みたいなありふれた人間には、少し大きすぎるような言葉ではあるけれど。それでも、笠さんたちは開発側の目線で、私はお客さんの目線で、提供するサービスが最適化されているかを担当者としてモニタリングする。

 依頼者クライアントとゲームとが、適切にマッチングする瞬間を確かめるために。


 マイページを開き、更新状況を見てから話題のアクションゲームの動画を映す。広大な世界を駆け回る主人公の旅のワンシーンで、いわゆるオープンワールドに興じるゲーミングのライブ配信。配信者はプレイヤーで、アリーナと称される枠に様々な国籍のマークと日本語での会話が飛び交う。

 さりげなく広告がポップされ、文字と音声はすべて同時翻訳されプレイヤーの脳に刻まれていた。



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