《クライフ》というサービス

空席

 会社へ向かう道すがら、朝の陽ざしが私の体をさましていく。

「また今週も仕事か」

 以前より、ずっと前向きな心構えでいられている自覚はあるけれど、それでもこの瞬間だけは仕事にけだるさを覚えてしまうのはなぜだろう。

 月曜日はやることが多いからかしら。


 オフィスに顔を出すと、まだ出勤しているスタッフも片手で数えられるくらいだった。空いていた島に端末を置き、買ってきた珈琲コーヒーを置く。

 窓際に視線をやれば、壁は一面のガラス窓。外に開かれた雰囲気が私のお気に入りだった。


 少しして笠さんがやってくる。子どもを保育園に送り出し、その足で自転車をいでやってくるのが日課。

「駐輪場がなかったら辞めてたかも」

 また、爽やかにそういうことを……。


 ジンくんがトートバッグを肩に提げて出勤してきた。

「おはようございます。春原すのはらさん、笠さん」

「おはよう、ジンくん」

「デートはどうだった」

 と、笠さんが聴くと、ジンくんは顔を真っ赤にする。後でじっくり聞いてやろう。


 まだ、カイさんが来ていない。いつもギリギリめの人だけど。


 もう一度外を見ると、晴れわたる空に、薄暗い灰色の雲が溜まり始めている。そういえば、今年はまだ梅雨つゆ入りしていないんだっけ。もしかしたら、雨が降るのかしら。

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