ふたりの距離感

 地平線から顔を覗かせて光をこぼしていた朝の陽が、さっきよりも少し高い位置で白い円を描いている。

「お姉ちゃん。そういえばシュンがeスポーツ部に入ったって」

「ウチの従兄弟の?」

「ゲーミングの部活があるんだものね。新世代って感じがするな」

 私たちはひとくさり歩いたあと、『GO』のスポットとして定番の区画でキャンペーン中のレイドバトルに熱中した。

 風を感じる。そよいで草木がさわさわと鳴る声が、耳に心地よく響く。

「じゃあ、またね」

「また、週明けに」

 カイさんが意気揚々と公園を後にした。


「はァー」とチヒロ。

「なにそのため息」

「なんか……いいな」

 カイさんが?

「ううん。お姉ちゃんとカイさんの感じが」

「なぁにソレ」

「私さ、休日に職場のヒトと会いたいなんて、絶対思わないもん」

 そう言って一瞬だけ、横目で私を見た。

「お姉ちゃんも前はそうだったでしょ。なんか、貫禄ついたね」

 ……どうも。でも貫禄はあんまりつけたくないかな。女子ですので。

「そりゃそうか。語弊」

「でも、そうね」

 この数か月。面白い人たちに囲まれてたから。刺激受けちゃったかな。

「……私も転職するか!」

 それから、妹はニッとこちらに笑いかけてみせた。


 そんな一杯行くかみたいに言われても。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます