妹の視点

 カイさんを含め、私たち三人はランニングコースから枝分かれする木陰こかげ散歩道さんぽみちを辿っていく。木々きぎから伸びる新緑しんりょくの隙間を縫うようにして光がこぼれ、それが地べたに幾つもの真白ましろい点を打っていた。

「快晴の『GO』日和ひよりだね」

 ええ。本当に。

 おまけにカイさんと出くわすなんてね。もし事前にわかっていたら……少なくとももう少し気合い入れて化粧けしょうしていた。

「春ちゃんも妹さんも、今日のアップデートに合わせてのウォーキングかな」

「スノちゃん?」

 チヒロが画面を見つめたまま首をかしげる。

「ああ、お姉さんのことだよ。職場ではそう呼んでいるんだ」

「それよりチヒロ。画面みたまま歩くのは危ないって——」

「開けた職場、なんですね」

 ——開けた?

 いまいち察しきれない私の隣で、カイさんはチヒロの言葉の意を汲んだのか、いつもと同じように、屈託なく笑ってうなずく。

「うん。そうだよ」

「——よかった」

 え、よかったって何が?

「それより春ちゃん。が出たよ」

 あッ、ホントだ!

 カイさんが私の端末の画面を人差し指でそっと触れる。その指先に朝の陽光がポツンと降り注ぎ、指先に白い光沢が添えられた。

「ところで、さっきの構えは何かのゲームのパロディなの?」

 あ、あれはなんでもありません!

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