《クライフ》って——

「これ、訳文やくぶんなんですか⁉」

 石間さんが「驚いたでしょー」とからかい調子で笑いかける。

「最初に言語げんごを選んだでしょ。それに合わせて翻訳ほんやくしてくれるの。原文表示もできるから参照しあえば誤訳による勘違いも減らせる。ビジネス面の機能を強化して、国内企業の海外展開の土台プラットフォームにってワケ」

「なんで国籍じゃなくて言語なんだろうって、思って——」

 ジンくんが、

「イマドキ、国籍=言語とは限らないからですよ」と言う。

「処理速度は?」

「ほぼリアルタイム」

「固有名詞は⁉」

 それを尋ねられ、カイさんが少し苦笑い。

「いまのネックだね。日本人は固有名詞とオノマトペを増やしすぎて困るって開発者がよくグチってます」

「開発者って、ヴァイスさんの中にいるんですか!」

「いるよ。じゃないと弊社へいしゃが開発者ヅラしてドヤれないじゃない」

 さらりと言い放つも、桔川さんは肩と腰の力が抜けたようで、

「人材豊富ほうふすぎ……」

 とつぶやいた。

 笠さんが「社長の人徳かねぇ」と作業を続けながら独りごちる。

「開発部にいるよ。ヘンちくりんなのがね」

 あのヒト、カイさんにすらへんちくりんって言われてるのね……。

 桔川さんが言う。


「つまりこれって、ネット上での“ほんやくコンニ——」


 ちょっと待った。

 でも合ってます。

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