交差する世界で、楽しく

 あら、晴れ間。

 くもり空だった空模様にぽつぽつと光の穴が開いて、その光が帯となって音もなく街へ幾重いくえにも降りかかっていた。

 私は変わらず雑多ざったなオープンスペースのフロアで、端末を淡々と操作して、作業用の管理画面とは別に、《クライフ》のユーザー用トップ画面を立ち上げる。


 この職場の皆が呼ぶ《クライフ》。——それは、ゲームを通じて加速するグローバル社会に楽しくよどみなく交流できる空間を創造そうぞうするためのプラットフォーム、と私たちは定義していた。正式には《E-Clifeイー・クライフ》と名付けられている。


 出入口の自動ドアが開いた。それと同時にパタパタと軽快けいかいな足音が二人分ほど。それがこちらに寄ってくる。あら、綺麗な女性がふたり——って。

「え、石間さん? あと、桔川きっかわさん!」

「おつかれさまです。チヅちゃん!」

「どうも! チヅちゃんさん!」

 どうしたんですか。揃っていきなり。

「ヴァイスさん、アワード取ったんでしょー! 受賞おめでとうございます、ですね!」

 それから、私の向かいのジンくんに気づき、

「あッ、いた! この間のさわやか育ちよさげなイケメンくん!」

「ジンくん! ジンくん! 絵、上手よね! アカウント教えて!」

 ……いつも元気だなァ、この二人。

 当のジンくんは手だけ振って苦笑にがわらい。

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