ジンくんと笠さん その2

 職場から窓の外を見れば、一様に晴れ渡る街並みが視界にすっと入ってくる。オフィスと外とを切り離すガラス張りの境界が街のおとさえぎり、静けさと快晴が同居する感触をつかんでいた。

春原すのはらさん。外ばかり見て、なにかあるんですか」

「あ、おはよう。ジンく——」

 そのとき、笠さんがジンくんの肩を掴む。

「まずは、席をサクっと自分仕様にしちゃいな」と言葉を投げかけた。

 ……嬉しそうに。


 そう。

 ジンくんが戻ってきて、笠さんが元気だ。


 私とカイさんが外出する際に同行することがあるように、笠さんにはジンくんがセットになるケースが多い。

「留守の間、UIいくつか調整したんだよね。動線とかバランスが崩れてないか、一緒に見てくんない?」

「わかってます。研修先アメリカでも見ていましたから。気になる点をリストにしたんで、三十分くらいやりますか」

 そう言うと、笠さんが「わかってるねぇ」と軽く背中をで、ジンくんはそれで背中をのけぞった。

 さらに、

「タスクツールに色々とカードを追加したから」

 と言い、それを受けたジンくんがスマートフォンを取り出して数秒。

「どう思った?」

「笠さんは鬼だと思った」

 ……仲いいなこのふたり。

 隣でカイさんが「姉と弟だね」とほがらかに感想を漏らしていた。

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