カイさんと改元

平成最後の日  その1

 五月の大型連休に入る前の日。会社を出た私の視界には、私と同じく街を流れるように行き交う人々の姿があった。平成最後の金曜日にと、人が繰り出す往来はとても賑やかだ。

 私自身、懲りずにまたカナと会う予定でいる。これまでを振り返るとか宣いつつ、ひたすら出逢いのないことを嘆いてワインを空にする会。すかさずカナがツッコミを入れた。

「アンタは出逢いあるだろ」

 やかましい。

 断言していいのか、わからないの。


 勢いそのまま連休に入り、迎えた平成最後の日。

 目を覚まして、すぐにを自覚する。


 私は二日酔いだった。


 ——アッタマ痛い。

 うつぶぜのまま、私はS極。ベッドがN極。とりわけカオは張り付くかのよう。

 そして私のスマートフォンに着信。——カイさん。


 ……。

 ——はッ⁉ 


 え、なんで! 今日出勤だっけ? いや、でもスケジュールbotのスケネコちゃんは……音沙汰なし。

 と、とりあえず出なきゃ。

春原すのはらです!」

『連休中にすみません。カイです』

 どうしたんですか。オフの日に珍しい。


 それからしばらく話し、事情を聞き、私は自分の鞄を漁る。

 そして軽く青ざめた。


 届けなきゃ……!


 でも、幸運と思おう。

 思わぬ出来事アクシデントから、平成最後の日にカイさんと会うことになったのだから。

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