カイさんとジンくん

事前に言ってください

 いま、カイさんは離席中。ふいに視線をかささんの横にやった。

 このCSシーエス班の島には、いす子が四つ用意してある。私とカイさんと笠さんと、そしてあと一人。その席は今日もいたまま、机に軽い椅子が一脚いっきゃく刺さっているだけだった。でも、それももうすぐ終わる。

「どしたの? チヅちゃん」

 彼、明日あす出社しゅっしゃでしたっけ。

「ああ、そうそう。研修けんしゅうの成果、楽しみだねー」

 そのとき、カイさんが風を吹かせて現れた。

「いや、もう戻ってきたよ」

「は?」

 カイさんの隣に、私より少し背が高いくらいの男の子がひとり。面映おもはゆそうにぺこりと頭を下げる。

 ふぉおああ⁉ ジン君だ!

「ご無沙汰です、春原すのはらさん」

 うわさをすれば影……。で、彼がヴァイスCS班の四人目。筧仁かけいじんくん。

「そういえば言ってなかったね」

 そうですね!

「さっき帰国しまして、持ち帰りたくない荷物にもつだけ置きにきました」

「どうだったよ。カリフォルニア」

 笠さんが両手を腰について嬉しそうにニヤついている。

「楽しかったですよ。あと、帰途でNYニューヨークに寄りまして、お土産みやげです」

 お土産⁉ えー、ありがとう! なにかな。

「どうぞ。ツタンカーメンのペンです」


 ツタ……?


 いや、でもありがとう! かざるねどこかに!

 笠さんが「使いなさいよ」と笑う。


 え、ツタンカーメンを⁉

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます