ちいさくカンパイ

 一日の終わりに、馴染なじみの友達とくだをまく。同姓でしか話せないような、とりとめのない話をして。——そんな夜。


 カナは、ビールの注がれたグラスを手に、

「お疲れさん」

 と、言ってほおを浮かせる。そのままビールで景気よくのどうるおしていた。

豪快ごうかい

「すぐ次に行くけど。チヅは?」

 私はワインかな。

「飲め、飲め」

 ——言われなくてもね。


 ここは、お洒落なバルとかダイニングバーの類ではない。通い慣れた居酒屋さん。でもここなら、気兼ねなく話ができた。


「最近のアンタの——、カイさんだっけ。また、面白いことしたの?」

 カナが話を振ってきたから、今日のカイさんトークをひとくさり話してみる。案の定、豪快に笑われた。

「じゃあ、文無しでバスに乗った挙句あげく、アンタが代金立て替えたの?」

「いや、胸ポケットにICがあって……」

「じゃあよかったじゃん」

 でも、毎度この調子だから肝が冷えるわよ。

「オカンか。その割には楽しげに語るし。ほらチヅ、カオ赤くない? 早くない?」

 いつものことだし。ここから長いし。

「それより、なんか食べ物入れよ」

 じゃあ、野菜スティックとアヒージョ。

「女子か」

 女子よ。

「肉は?」

 鶏の唐揚げ。

「グッド!」


 ——カナのあっけらかんとした感じ、少し羨ましいな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます