ランチはどちらで

 バスを降りてすぐに差し掛かったのは、自社にも近い大通りの交差点。いろんな人が、お昼どきに合わせて街に繰り出している。私とカイさんは成り行きで、帰社する前にお昼を済ませることにした。

「でも、大丈夫ですか、カイさん」

「なにが?」

 だって、さっきサイフ忘れたって——。

 カイさんは「ああ」となんでもない風にうなずいて、

「カードはあるから、へーきへーき!」

 とだけ言って、近くの商業施設に入った。扉が開くと、天高い吹き抜けから陽射ひざしがそそぐ開放感ある空間に躍り出る。カフェとレストランが集まるフロア。そこをふたりで歩きながら、

「何がいい? スノちゃん」

 束の間のランチタイム。


「午後もありますし、早いトコがいいんじゃないですか」

 とは言いつつ、せっかくのカイさんとのランチ。

「すぐソコは饂飩うどん屋さんか。定食なら早いね」

 それも構いませんが——あっ、そうだ。

「吹き抜けのカフェ。レディースデーですって」

 混んでないし、安く済みそう。

「女性ランチ半額⁉ すごいな」

 そこですか。

「なら、僕が女装して入れば、二人とも安くなるかも!」

 え、そっち⁉

「ワンチャンあるかな」

 ないでしょ。

「次の視察しさつも兼ねて、行こうか!」

 ……カイさん。


 おうどんにしましょう。私、饂飩うどん好きですよ。

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