#119:無双な(あるいは、ごめんよ、C・D・G)
【お題っ!! パッと見ダメなんだけれどっ!! 何故か心掴まれて敬服するっ!! そんな名言っ!! 略してパダナ=コツケソぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁっ!!】
僕のヴァイブレティック・キャノナーヴォイス(技名)が、発した音節の分だけ、対象物を揺さぶるというのならっ!! 冗長な言葉の羅列もっ!! 少しは意味のあるものとして昇華されるのかも知れないっ!!
「あ、……だ、だめぇ……」
<チマチ=カオ:6,224点>
「こえ……もぅ……やぁぁぁぁ」
<メゴ=マコ:7,112点>
「ゆる……て……おねが……はぁい……」
<リポ=ッニ:9,233点>
もはや極限状態の三人娘だが、それでも点を獲るなんて流石じゃあないか。それでは……幕引きの時間だ。ワタシの手番……存分に味わうがいいっ!! 大きく息を吸い込んだ僕は喉よ裂けよとばかりに声帯を震わせていく。
【……アナタカスキデソォォォォォっ!!】
今まで溜まりに溜まったものを射出するかのように、声を限りに。
【アナタノぉ、ハタガぁ、ダイッッ、スキデソォォォォォっ!!】
メゴちゃんは歯を食いしばったまま、自分で自分の体をかき抱くようにして、スライドから滑落していった。
【イツマテモぉぉぉ、カワラナイテぇぇぇぇっ!!】
カオちゃんもぺたりと座り込んだまま、両手で太ももの付け根辺りを必死で押さえていたが、体が滑り出すのを止めることは出来ずに、スライド上に一本の光る筋を残して、プールへと消えた。
【シヌホトォォォォォっ】
リポちゃんはもう体をくたりと横に倒し、断続的にびくつく反応を見せながら、どこか満たされたような表情でスライドの上を滑り落ちていった。完全勝利。いや、
【スキダッカラァァァァァァっ!!】
とどめとばかりにセイナちゃんに向けてVCVをお見舞いする。柵に腕を絡ませ、何とか座り込むのは耐えた実況少女の鑑だけど、その今にも崩れ落ちそうな両膝からは汗のような雫が滴っていた。そう……我こそがチーレムの王たる資格者。
「け、決着……チーム19の勝利……だ……よっ……!!」
最後だけはキャラを取り戻し、そう告げたセイナちゃんは遂にその場にへたり込んだ。勝った。
―繊細な頭脳戦と見せかけてダメチート能力で強引解決でした―
―ウイルスハザード展開と見せかけてモラルハザード展開でした―
シコりの残る戦いだった……いや、総括している場合じゃない。どよめきが止まらない会場の雰囲気の中、僕は素早くスライド横のタラップを駆け下りると、視界の隅で脱兎のごとく身を翻した、紫色のフォルムを追う。
【サエさん!! 待ってください!!】
腹から声を出し、その人を呼び止めようとする。が、その|PCW(パープル・キャット・ウォマン)はその声に一瞬、片膝をかくんと落としたものの、両耳をレザー覆面の上から両手で押さえ込むと、振り向きもせずグラウンドから一塁側ダッグアウトの方へと駆けていった。
なぜ……逃げるんですかぁぁぁ!? 待ってくださいよおおおおぅぅぅぅ。
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