#111:菊座な(あるいは、菊の花言葉は「高貴」「高潔」「高尚」)
「お題っ!! この三日間で〜いちばんダメだったエピっ!!」
親番のカオちゃんは、大げさなほどに顔の筋肉をせわしなく動かしながら、そう高らかに告げてきた。
肩くらいまでの艶のある黒髪を自然に分けた感じで、表情を最大限見せたいのか、おでこは出している。目はぱっちりとした二重で、普通にしていれば結構かわいいのに、なぜそこまでの顔芸を突っ込んでくる?
このダメアイドル業界も何かしらの売りを持っていないと生き残れないとでもいうのか? 華やかな世界ほど兎角せちがらいとは言うけど、いや、そんなことを考えている場合じゃあない。
「……」
先陣は丸男だ。先ほどの岩塩は高評価だったんだ。今回も行っちゃってください!!
「……ぼ、僕は、き、きのう弩級の電流を流されてから、こ、肛門が自分の意思に関係なく開いたり閉じたりするようになったんだなっ」
駄目だ。駄目な意味で駄目だ。とゆーか、昨日の準決での電気ショックは効いてなかったようで、知らぬ間に丸男に爪痕を残していたのか。まあそれもどうでもいい。もっと、こう……あるだろう!?
<トウドウ:1,901点>
出ました最低評点。何となく分かってきたが、下ネタはあまり評価されないので避けた方が無難だ。ましてや、このむくつけき大男のを誰が聞きたい?
「あ!!」
と、次の手番。先ほど親番でパスしたメゴちゃんが、目と口を大きく見開いて何かに驚いたような顔をする。よくよく観察するとこのコのリアクションはわざとらしいし、何かあざとい感がある。でも今の「あ!!」で聴衆の注目を瞬間、集めたぞ。やるな元老院。そして、
「わ……私も昨日、その……電気を……お、おしりに……そのビリってされて……それからちょっと……ヒクヒクしちゃったりしてるんですぅ」
やられた。かぶせられた上に最大の武器である萌えで強力に加速と回転を与えられたメゴちゃん渾身のDEPが、観客のおそらく大部分を占めるだろうお兄様方にごすりと突き刺さるのを、僕は感覚を超えた何かで確かに感じ取ったのであった。
一瞬後、予想通り、球場の客席から野太いうおおという歓声が降り落ちてくる。
<メゴ=マコ:28,111点>
そして最高得点。こんなの出されたら立ち向かっていけない。僕も含め、残る4人は案の定パス。ウィナー:メゴちゃん、1UP:丸男で第2手目は終了してしまった。
「さあっ、どんどん行きましょー第3手目!! 親番〜スロッツ!!」
セイナちゃんの掛け声と共に決まった次の親番は〜?
<親番:リポ=ッニ>
露骨!!
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