ソイルドラゴン三



 青白く光る霊札がそのまま燃えあがり、青い炎と共に尽きる。

 浅葱色の袴の装束を身にまとった衛兵達は白い霊札を数枚出して、ジリジリとこちらに近づく。




「キィシャー」



 突如体をひねり、瓦礫をはね除ける巨大ミミズ、衛兵に瓦礫が飛びかかるが、彼らは寸前のところで霊札を投げ、現れた透明なバイアで防ぐ。



「グルルルル」



 巨大ミミズは体を輪のように丸め、その中に俺達を置き、衛兵から守るように体制をとり、威嚇するように唸っている。



「あーちゃん……もういいよ」



 巫女の名前は、輪廻というのだろう。彼女はまるで逃亡者が捕まり、観念したというような力の抜けた声で巨大ミミズをなだめた。


 囲まれている壁を除けば、まるで地上のような高い青空、緑豊かな地、そんな地下とは思えない図上に大きなカゴが現れた。


 時代劇などで見るあれだ。

 五人の衛兵達が一斉に投げた霊札が重なり、現れたカゴを輪廻の前にゆっくりと下ろした。

 霊札の魔法の力で作られたカゴのようだ。



「さ、輪廻様、おやしろにお戻り下さい」



 一人の衛兵がゆっくりと頭を下げる。



「勇者様……」


「!!」



 俺は振り返り様の彼女を見て思った。

 眉頭が上がり、涙が今にも溢れ出そうな大きな目、きっと連れて行かれた先には彼女にとって、嫌なことが待ち受けているに違いない。

 そう、だからここで助けなければ……男じゃない! と――――




「お、おいおいおいおい、お前らいきなり現れて、何なんだよ」


「そちらこそ、何だ。その言葉、そっくりそのまま代えさせてもらう」


「う……」



 言われてみればそうだ、反論の言葉に詰まる。いきなり現れたのは俺のほうだ……

 しかし、こいつらもいきなり現れたことには違いない。



「い、いや、いきなりとか、そんなことはどうでもいいんだよ、お前らが何なんだってことだ!」


「今一度、そのお言葉。そっくりお返ししよう。急いでいるので、失礼する」



 温度差、俺が声を張り上げれば張り上げるほど、衛兵は冷静に返答する。これは温度差が違いすぎる。まるで俺には興味もない、眼中に無いと言っているのと同じた。



「なっ、何なんだよ待てよ、彼女嫌がってるじゃないか!」


「勇っ……いえ、参りましょう」



 一瞬その目が見開いたが、それはすぐに虚ろな目に戻った。



「別に嫌がってはいないように見えますが、失礼」



 嫌がってはいない、それはその行動だけであって、心の中は嫌がっている、表情がそう言っているじゃないか。



「キュー」



 カゴは輪廻を乗せて浮かび上がる。巨大ミミズのあーちゃんが、寂しそうに鳴いた。


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間違えられた異世界勇者とグイグイくる姫騎士 ゲットせっと @getset

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