ソイルドラゴン 二



 物凄い速さで土を泳ぐ蛇のような生き物、ヌルヌルとしたこの皮膚、恐らくこれはミミズだ。手に力を入れてはいるが、落とされるのは時間の問題だ。更に目の前に壁が現れた。このままでは落ちる前に壁に激突してしまう。



「えっ、ちょっ」



 この巨大化ミミズはスピードを緩めることなく壁へと進む、しがみつく手を握り直し、俺は硬く目を瞑り衝撃に備えた。



「ちょ、勇者様、何をなされているのですか?」


「え?」



 この状況でも彼女はキョトンとしている、この粘膜質の皮膚にもかかわらず余裕で乗りこなしていた。



「だってほら、壁に!」


「大丈っ――――」



 恐らく彼女は「大丈夫」だと、言いたかったのだろう。


 だが……


 大丈夫ではなかった……




「ギシャーーー!」



 大ミミズの鳴き声と同時に壁が崩れ落ちる、目の前が一瞬にして真っ暗になる。



「痛ってててぇー」



 全身が痛い。

 彼女の言う通り痛い。壁に激突した後、  どうなったかはわからないが、巨大ミミズが屋根になってくれて、瓦礫に潰されることは免れた。

 そして次に目に飛び込んで来たのは、ミミズの粘液を全身に被った彼女だった。巫女服は破れ、はだけた間から、白いブラジャーが覗いている、粘液が胸の谷間に流れ込み、汗がその立体間を浮かび表す。もう少しこの光景を眺めていたい、



「あっ、勇者様!」


「う、うーん」



 あたかも今おきたかのように振る舞った、四つん這いでこちらにちかよって来られると、嫌でもそのお椀谷間に目がいく。もう少し単能したかったものだが、仕方がない。


 そう言うと同時に彼女は自分の胸元を手で押さえた。



「もうっ、どこ見てるんですか」


「え? あ、いや暗くて」


「暗いからって、何かいやらしいこと、考えてませんでしたか?」


「え? いやそんなことは断じてない、それより君は何故俺を知ってるんだ?」


「この地下帝国が、ピンチに陥った時、勇者が舞い降りて救うだろう、と、言い伝えがあるのです」



輪廻様りんねさま、早くお戻りになって下さい」



 複数の声がする。サーフィンをするように大きな御札に乗った魔法使いと思われる衛兵に取り囲まれていた。

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