赤い戦士14



 驚き叫ぶエリザの声が掠れて聞こえる。


 赤く滲んだ目に移るのはラムレの姿だ、何故こんなことをするのか、全くわからない。

 子供達が一斉にパニックになっている、マリジューレはこの場から離そうと子供達を連れて外に出る。



「ふふ......その顔は不思議に思っているようですね、私があなたを殺そうとしていることに」



 ジリジリと俺の喉に刺さる氷の刃をエリザの剣が砕く、そのまま俺の前でラムレに戦闘態勢をとるエリザ。



「マリジューレ、エージ様に回復を。ラムレ様、何故ですか、私のエージ様に手を出すと、たとえラムレ様とて許しませんよ」


「ふふふ、バカなガキですねー、彼女はいませんよ」


「あっ」



 子供達を外に出そうと手こずるマリジューレを見た瞬間、氷の刃がエリザの剣を弾いた。

 石の床を滑るように弾かれた剣が音を立てる。


 その剣に目を奪われていると、ドスドスッと鈍い音が聞こえる、



「何これ? うっ......」



 二十センチ程の氷の刃が三本、エリザの胸に刺さっていた。倒れる俺の前で膝をつくエリザ、こんな瀕死の時に思うのもアレだが、その突き出した尻はスカートがめくれ、パンツが丸見えだ......



「教えてあげましょう、私があなた達を殺そうとしている訳を」



 そう言うとラムレは衣装のロングスカートをたくし上げた。

 血で見にくくなければ透き通るような白い太ももなのだろう、その立体感はずっと舐めていられそうなほどだった。


 かなり上まで上げた、何故か虚ろな目をしながら俺を見つめているラムレ、そんな彼女からは男を誘っているような色気を感じる。

 あと少しで見えるよな......こんな人の下着の色は白しかないのだろう、それを確認したかった、それを確認するまで死ねない。


 必死に目を見開いていると、右太ももに包帯が巻かれてあった。



「これよ」



 包帯?


 それがどうしたというのだ、それが俺達とどう関係するのだ。



「まだ分からない?」



 ――なっ!



 ラムレの体はみるみると変化する、その姿を見て驚愕した、

 あの時少女を助けるために剣を突き立てたあの大鶏だった。



「や......やはりそうでしたか......エージ様、あの時、私は止めさせようとしていたのです、この辺りの鳥系の生き物は神の使いとモンスターとの区別がつかないのです」


「あの子が持っていたパンには毒がありました、だから私が持って帰るのを阻止しようとしていたのに、あなた方は......」


「で、でも歩けるように回復、して差し上げたのでは......」


「それはマリジューレ、先ほどの女性が、でしょ? どちらにせよ神の使いである私に手を上げるとは、死にあたいします」



 辺り一面が光り出す、大気中の水分を氷に変えているのか、小さな氷の粒が浮かぶ――



「いや、やめて」



 エリザが這いながら俺に近づくと、膝で立ち上がり、両手を広げる。胸から流れる血が痛々しい。



「死ねやー!」



 大鶏ラムレの声と共に無数の氷の粒が俺を目掛けて飛んでくる、俺をかばうエリザが目の前で何度も衝撃を受けてはその勢いで小さく浮かぶ――


 エリザ――



 彼女の涙が目から溢れそうだ、その涙を見て俺も涙が湧いてきた――

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます