赤い戦士13



 オリヴァンの亡骸は大きなクリスタルと変化していた。

 俺の変形は先の騒動ですっかり元どおりになっていた。



「てか、グラタンって、メチャ強いじゃん」


「ん? 我が強いのではない、あやつが弱すぎるのだ、わははは」



 マリジューレは手をかざすと、風が巻き起こりエリザの回りを取り囲み、湿った部分を乾かした。



「姫様、お怪我はありませんか」


「あ、ありがとうマリジューレ」



「おお」と、グラタンは同じくらいの歳の子達が大勢いることに気づき声を上げて駆け寄った。

 ワイワイと騒ぐグラタンを、親が子供を見るような目で見つめるラムレだった。



「で、この子供が、不死鳥レッドウォーリアなのですか?」


「おお、マリジューレは子守でいなかったからな、そうだあの方がレッドウォーリア、グラタン様だ」


「そうですか」



 マリジューレは足元で騒ぐグラタンに目線を合わせると、ニコリと笑って、



「はじめまして、グラタンちゃん、お姉さんはマリジューレといいます。よろしくね」



 笑顔だったグラタンの顔が一瞬で曇る。



「なんらお前は、無礼ではないか、我は小さな子供ではないらぞ!」


「はは、そうだねー、ごめんねー、ウォーリア様だよねー」



 わしゃわしゃと頭を撫でるマリジューレ、子供の扱いには慣れましたというような感じだった。



「ダメだ、マリジューレ!」



 俺の忠告も届く間も無く、パシンと手を跳ね退けられるマリジューレ、



「それは小さな子供に言う言い方なのら! お前も食べてやろうかなのら!」



 グラタンの体がみるみるオレンジ色に染まっていく、



「あ、お待ち下さい、グラタン様」



 エリザがそれを止めに入る、続いてラムレも一緒だ。



「離すのらっ!」



 暴れるグラタンを二人掛かりで抑え込む、



「は、早く謝るのだマリジューレ」


「あ、あっ、すすみませんでした」



 何が何かも分からずに誤った感じだったが、グラタンの怒りは治ったのだろう、皮膚の色が元に戻る。



「分かれば良いのら、我は偉大なのら」



 腰に両手を当てると、胸を張る。

「おー!」と、周りにいる子供ギャラリー達から低い声が上がる。



「彼女は子供扱いが嫌いなのです、ご了承を」



 ラムレがマリジューレへと、耳打ちする、俺の時とは大違いだ。コクリと頷くマリジューレは、改めてグラタンに挨拶をした。



「先程は失礼しました、私は風の魔法使いマリジューレと申します」


「おお、お前が風の? おー、おー、今はこんなかわゆい女子になったらのぉ」


「と、言いますと?」


「昔の風、つまりお前の師匠の師匠くらいら、むさ苦しい親父だったら、わははは」


「そ、そうでございましたか、して、グラタン様、その、羽根......というものは、生えているのでしょうか?」


「なっ!!」



 途端に頬が赫らむ、



「な、なななんと、卑猥なっ、今時の娘はそんな卑猥なことを堂々と口にするのかなのら?」



 グラタンは股間に両手を当てると、くるりと反転し、スカートをめくり上げ、ゴソゴソと肩を丸める。

 しばらくしてスカートを元に戻してこちらを向き直す。



「ま、ま、まままだ、は、生えて、ななないのら......」



「マリジューレ様とおっしゃいましたか、すみません、不死鳥の羽というものは、大人にならなければ生えてこないのです」



 ラムレが頬を赤く滲ませながら言った。



「も、もしやその羽とは、股間に生えるのでしょうか?」


「......はい」



 その一部始終のやり取りを見ていると中学生の頃を思い出し、笑いが込み上げた。



「ハハハ、それってじゃあそれって〇〇毛みたいなもんか?」


「勇者様......」


「ぐっ」



 突然俺の首元に刃のような尖ったものが突きつけられた、



「卑猥でございますよ、勇者様」



 ニコリと笑うラムレの腕から伸びた氷の結晶のような物が俺の喉に刺さる。



「このまま、死にましょうか?」


「そうだ、そうだ、ラムレ様、こんな変態勇者、殺してしまいましょう」


 目を合わせて笑うマリジューレとラムレ。

 初めて見る氷の魔法にグラタンの周りにいる子供達は大はしゃぎだ、



「おねーさんカッコいいー!」


「伝説の勇者がこんな事で死ぬわけがないのら、ラムレ、無駄だぞ」


「でしょうか?」



「がはぁっ」



 一瞬で目の前が真っ赤に染まった、


 まさか、何故?



「ラムレ......さん」


「エージ様ーー!!」


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