赤い戦士7




「おい、子供達! お前らの家に小麦粉と卵はあるか?」


「え? うん、ある」


「では、案内しろ、私がパンを作ってやる」


「うわぁ! 本当!?」


「おお、マリジューレのパン、久しぶりだなぁ」



「マ、マリジューレ、ギブ、ギブアップ......」



 三途の川が薄っすら見えたところで、帰ってこられた。



「ゲホッ、ガホッ......パンが、どうって?」






 さっきまで大人がいたように、調味料や調理道具が並ぶ。

 戦闘用とはいえ、メイド服はその光景によく合う。慣れた手つきで小麦粉と白身をかき混ぜ、あっという間に生地を作った。


 温まった鉄板に生地を広げ、丸く形取る。

 同時に香ばしい匂いが漂ってくる、俺も見たことがある。これはパンというかパンケーキだ。



「ほら」


「うわぁ」



 ガタガタとテーブルを叩く子供達、そこに温かい湯気を立てたマリジューレ特製パンケーキが並べられる。



「美味しいー」


「ありがとう、お姉さん」



「ん? ハハ、美味しいか、よかった」



 マリジューレの頬が微かに緩んだ。



「マリジューレ、子供って、いいものだろ?」


「そ、そうだな......」



 食べる姿を見ながら、微笑むマリジューレ。



「じゃあ、後は頼んだ」


「は?」


「「お姉さん、ぼく達にも作ってー」」



 ドアの向こうから流れるように子供が押し寄せる、たちまちマリジューレは囲まれ、身動きが取れなくなった。



「俺達はレッドウォーリア様に会ってくるから」


「あ、貴様」


「お姉さん」


「わ、わかったわかった、全員の分作ってやるから、大人しくしていろ」



 幼稚園の保育士の様になってしまったマリジューレを残し、俺とエリザは逃げるように裏口から飛び出した。



「なんだか昔を思い出します」


「昔?」


「ええ、昔はよく教育係でもあったマリジューレから逃げ出したものです」


「ハハ、あの性格じゃ、逃げたくなるかもな」



 村を抜ければ神殿までは一直線だ、走る足がゆっくりになる、息を整えながら歩く。

 歩くにつれてエリザの足が遅くなる。ハアハアと肩で息をしている。



「だ、大丈夫か?」



 膝をつくエリザ、咳をする回数も増えると、自然に気遣わしく思う。



「ゲホッ」



 下を向き一度大きな咳をすると、赤い炎が口から吐き出る。

 どうやら症状が末期のようだ、涙目になり俺を見つめる。



「エージ様、私はもうダメです」


「何言っているんだ、早く行こう、行って直してもらおう」


「ガホッ」



 更に大きな咳をすると、口や鼻といった場所から炎が見える


「わかった、エリザはここにいろ、俺がレッドウォーリア様を呼んでくる、わかったな!」


「は、はい......」



 俺はエリザを道の脇にある木陰に寝かせると、先を急いだ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます