赤い戦士2



「あの爺さんレアアイテムっつって本物なのか?」



 手錠は一瞬で外れた。輪の中に指を入れグルグルと回す。


「まあ良いではないですか、三日もあれば余裕でたどり着けますわ」



 俺から手錠を取ったエリザは遠くへ投げ捨てた。



「っにしても、あの魔王親衛隊とかいう奴らは何なんだよ」


「私が魔王までたどり着いた時には、いませんでしたよ、あんな人達は」



 澄んだ青空の下、俺達は炎の神殿へと急いだ。エリザは凍結薬が効いているようだ、拾った木の枝を振り回し、背の高い草を切るような仕草で歩く。



「ふん、どうせ鼻の下伸ばしていたのだろう、この両刀使いが!」


「両刀? なんだ、エージ様は二刀流ということなのか?」



 目を丸くしたエリザは、枝を真ん中で二つに折り「殺陣を見せてくれ」と、俺に二本の枝を渡してくる。



「あ、いや」


「そーでございます姫様、二刀流、この者は女も男も――」


「だーーーー、やめてくれ! 俺にそんな趣味は無い!」


「ハッ、勇者よ」



 マリジューレの目が細くなり、右の頬だけがニヤリと微笑む。



「な、なんだよマリジューレ」


「貴様、童貞だな......」




 ――!?




「な、何言ってんだよ」


「図星か......」


「ち、ちげーよ、あるよヤッたことあるよ」



 不意打ちを受けた気分だった。しかも一撃目で致命傷。それくらい強烈な攻撃に返答をする内容は、あまりにも焦りに満ち溢れていた。



「童貞? ああ、あれか、まだ女のアソコを見た事がないというあれか!」


「さよーでございますぅ、姫様」



 彼女は更に悪意のある笑みを浮かべる、



「やめろ、マリジューレ!」


「エージ様は童貞なのか?」


「違う、違うぞエリザ」


「よいよい、ならば私が見せてやろう」



 エリザは躊躇なくスカートの中に手を入れ、両手の親指だけを使い、前屈してスルスルと白い布をふくらはぎあたりまで下ろすと、スカートの裾を握る。



「姫様、そういうことではありません、おやめ下さい!」


「なぜだ? 見せるくらいよいであろう?」


「違います姫様、童貞というのは女性のバージンと同じことでございます」


「そ、そうなのか?」



 顔を赤くして、パンツを履き直すエリザ。



「エージ様、わ、私もまだ......でございまして。バージンは恥ずかしいことと聞いております。なので一緒でございます。どうかお気を落とさないで下さい」


「あ、うん」



 エリザを隠すように俺の前に立ち塞がるマリジューレ。



「おい、童貞野郎、何も期待するなよ......」


「な、何をだよ」


「クッ、分かっているくせに、私はお前が思っているようなエロい歳上女ではない、ということだ!」


「う、うるさいよ、誰がお前なんか」


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