同居宣言

 涼川さんに告白してから、一か月が経過していた。

 

 時が流れるのは早いもので、現在の俺たちは何の進展もしていないといったところだ。

 どうしよう!?


 いや、焦るな俺。

 ここ一か月の俺たちがどんな感じだったか、今一度思い出してみようじゃないか。


 それは交際翌日の事。


『…………っ(目が合って咄嗟に逸らす俺)』

『…………っ(目が合って咄嗟に逸らす涼川さん)』


 それは全校生徒に交際の事が知れ渡ったある日の事。


『あの涼川が付き合ったらしいぜ(モブA)』

『あの冴えないやつとか? 羨ましいなこん畜生(モブB)』


『…………っ(それを聞いて、そう言えば付き合っていたんだと再認識する俺)』

『…………っ(それを聞いて、いい加減話がしたいのに中々話しかけられない涼川さん)』


 ……みたいな感じだったと思う。


 まあ、それから何度も視線が合うもののお互いに話しかけることが出来ず、依然としてカップルらしいことが全く出来ていなかった今日!

 

 ……みたいな語り口で、まるで今日は何かがあるみたいに思わせといて、結局は何も起こらない今日この頃。


(これじゃ、付き合った意味ないじゃん!)


 だけど話しかけようにも、涼川さんは雲の上の存在過ぎていつも誰かと会話してるし、中々タイミングが見出せない。

 まあこれも言い訳がましい言い訳なんだけど、結局は俺に度胸が無いだけなのかもな。


 この一七年間、俺は生粋の童貞として近所にはそこそこ名のある逸材として知れ渡っていた。

 そんな俺が去年に涼川さんと出会ってから一年間思い続けて……そして交際することが叶ったんだ。

 

 こうしてグズグズしている間にも、涼川さんが他の人に目移りしてしまうかもしれないし、はたまた俺に見切りをつけるかもしれない。

 そうなれば……死は免れない!


 よし、今日こそは思い切って話しかけよう。

 まずは……そうだな、デートの誘いだ。


 そこで俺が珍しく一人で廊下を歩いている涼川さんに近づいて、肩を数回トントン。


「す、涼川さん」

「はーい、…………っ!?!?」

 

 やっと話しかけることが出来た! ……と思ったら、何か涼川さんが腰抜かしてるんですけど!?


「だ、大丈夫!?」


 俺はさも出来る男を全力で装うべくして、彼女の腰に腕を巻き付けて支える…………って俺が何かセクハラしてるみたいじゃん!

 どうしよう俺、やっちゃったよ!

 何か腰が妙に柔らかいし、もうこのまま死んでもいいかも!


(死ぬなああああ俺ええええ!)


「う、うん大丈夫! ……きゅ、急にど、どうしたの?」

「そ、そのね……で、デートに誘いたいな……って」


 すげえ俺、女の子と話せてる! それも意中の女の子だよ!

 そしてさらっと、デートの誘いをするなんて……もう罪な男めっ!

 つか顔の距離が近い! 可愛すぎる!


「そ、それなら私も、実は……言いたかったことがあって……」


 すると突如として大きく深呼吸をし始めた涼川さんが、次の瞬間俺の目を真剣に見つめて、


「わ、私の家で……一緒に暮らしてほしいの」


 うん、デートの話はどこにいったの!?!?

 というか飛躍しすぎて付いていけないんですけど! 


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俺の彼女は学園アイドル。因みに三人います。 全人類の敵 @hime_sakura

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