118・どうすればいい?

 犬頭と猪頭が私に剣を構えて向ってくる。

 でも私はそれを受けて立ったりしない。

 剣に剣で挑むなんて愚の骨頂。

大地アース束縛バインド!」

 私は相手の足を封じようとしたけど、犬頭と猪頭は横に跳躍して、魔法の効果範囲の外へ。

 そして私の両側面から同時攻撃。

 私は二人の鬼をぎりぎりまで引きつけて、私は魔法を行使。

火炎フレイム竜巻トルネード!」

 効果範囲の寸前でバックステップして回避した、犬頭と猪頭。

 私は続けて魔法を行使。

飛礫ストーン突風ブラスト!」

 猪頭に向けてはなったそれは、右拳で粉砕された。

「どうしても話を聞いては貰えないのですか?」

 犬頭と猪頭は剣を構えて応えた。

 やっぱりこの程度じゃ話は聞いてくれないか。

 どうする?

 火炎ファイア暴風ストーム水氷暴風ブリザードを使うべきか。

 大きなダメージを与えることになるけど、古代都市ガラモで白剣歯虎ホワイトサーベルタイガーに付き従っていた三獣士は、一撃では死ななかった。

 彼らも同じランクBなら、命を落とすことはないと思うけど。

 犬頭と猪頭は同時に正面から向かって来た。

「大地束縛!」

 私はもう一度同じ魔法で足を封じようと試みる。

 犬頭は跳躍して私の頭上から斬りかかってきた。

 犬頭の剣を、私は業炎の剣ピュリファイアで受け止める。

 猪頭が泥沼化した地面に構わずに突進してくる。

「飛礫突風!」

 私が放った魔法を、猪頭は左腕で弾き飛ばし、そのまま剣を突いて来た。

 私は横へ跳んでそれを回避。

「氷の矢・連撃!」

 六つの氷の矢を犬頭と猪頭に放つ。

 だがそれを全て剣で斬り落とした。

 やっぱり、威力の低い魔法だと、防がれてしまう。

 さあ、どうすればいい?



 十二トェルヴ武鬼デーモンズが私たちから距離を取った。

 大きく円形に陣を取り、無作為ランダムに回り始める。

 突然、鼠頭がラーズさまに間合いを詰め、三鈷杵を突き、ラーズさまがそれを回避したところを、牛頭が太刀で斬りかかる。

 兎頭が斧をセルジオさまに振るい、受け止めたところを、猿頭が大鎚の一撃を与えた。

「グゥッ!」

 まともに受けて呻き声を上げるセルジオさま。

 蛇頭がスファルさまの足を狙って戟を横に振るい、跳躍して回避したところを、竜頭が矢を放ち、それを太刀で弾いたところで、虎頭が拳を連打。

 犬頭が剣をキャシーさんに連戟し、馬頭が法螺貝を吹き鳴らして、キャシーさんの素早い動きを封じる。

飛礫ストーン突風ブラスト!」

 私は馬頭に魔法を放ちそれを止めるが、羊頭がさらにキャシーさんに戟を連続突きする。

 鶏頭が独鈷杵を私の頭を狙って振りおろしてきた。

 上体を仰け反らせて回避した私の胴部を狙って、猪頭が剣を振るう。

 不安定な状態で受け止めた私は、バランスを崩して転倒しそうになった。



 こいつら、本当に連携が上手い。

 魔法は封じたけど、私たちも強力な魔法は使うわけにはいかないし、十二武鬼も連携して、私たちに魔法を簡単には使わせないようにしている。

 本当にどうする?

 スファルさまが、

「しかたねえ。みんな、俺が突破口を開く。やつらを撹乱するから、なんとかして気絶させろ」

「どうやってですか?」

「こうする」

 スファルさまが新たに二人現れた。

 分身体を二つ作りだした!?

 三人のスファルさまが分散する。

 三つの存在が一つの意思の下に動くのだ。

 それは十二武鬼以上の連携で、スファルさまは彼らの動きを撹乱することに成功している。

 好機チャンスだ。

アイスウィンド投槍ジャベリン!」

 厄介な音響攻撃をする馬頭の胸当てに直撃させ、衝撃で吹き飛ばして岩に叩きつける。

 先ずは一人目。

衝撃波ショックウェーブ・連」

 ラーズさまが三十もの魔法同時行使で竜頭と羊頭を気絶させ、続いて虎頭の懐に飛び込み、右肘をみぞおちに当てる。

 残り八人。

「ハニー!」

「ダーリン!」

「「ストームストーン散弾ショット!!」」

 鼠頭と犬頭、猿頭が魔法の効果範囲に入り、強力な風と石飛礫を受けた。

 残り、五人。

 スファルさまの一体が蛇頭の戟を切り落とし、もう一体のスファルさまが懐に入り込んで太刀の柄で腹部を強打。さらに背後からもう一人のスファルさまが、後頭部を狙って刀背打ち。

 残り四人。

 牛頭がラーズさまに太刀を振り下ろす。

 それを、腕を十字にして持ち手を抑えることで防いだラーズさまは、合気道のような技で、牛頭を宙に回転させ、地面に叩きつける。

 そして腹部に左拳をめり込ませた。

 残り三人。

 兎頭と鍔迫り合いをしているセルジオさまが、兎頭を筋肉で押さえつけ、兎頭は土に膝を付く。

 と、そこでセルジオさまは力を抜いた。

 突然、押さえつけられていた力が無くなったことで、兎頭は踏鞴を踏み、そこをセルジオさまは腰に腕を回し、頭と足を上下入れ替えると、兎頭の後頭部を地面に叩きつけた。

 前世で、プロレスで同じ技を見たことがある。

 残り二人。

 キャシーさんが猪頭と剣戟を繰り広げ、お互い間合いを取り、猪頭が剣を突き、キャシーさんが剣を振り下ろす。

 だけど、キャシーさんは剣を振り下ろす直前、動きを止めて横に半身になって、猪頭の突撃を回避。

 延髄に回し蹴りを入れた。

 残りは鶏頭一人。

アイスウィンド投槍ジャベリン

 私は鶏頭の胸当てに、魔法を直撃させた。



 十二武鬼の装備品を全て外し、用意しておいた縄で縛り上げ、動けなくした。

 説得はできなかったけど、これでもう大丈夫。

 あとは魔神を手に入れるだけ。

「それにしても、スファルさま。いつの間に分身体を二つも作れるようになったのですか?」

「ゼー、ゼー」

 息を切らしていたスファルさまは、しばらくして呼吸が落ち着いてから答える。

「ふっふっふっ。ヴィラハドラとかいうやつが二体作れたとかって話してただろ。それで練習してたんだ。まあ、俺の才能と努力の賜物かな」

 得意げなスファルさまに私は一言。

「最初からやってください」

「ねえ! もう怒ってないんじゃなかったの?! どうしてそんなにきついの!? これ体力と魔力の消耗が激しいとか理由はあるんだよ!」



 神殿に入ると、そこには一メートルほどの大きさの卵型の水晶が浮遊していた。

「この中に魔神が……」

 ゲームではこの水晶に触れることで、ラドゥ戦で魔神召喚が可能となる。

「誰が魔神召喚を行いますか?」

「君しかいないだろう」

 ラーズさまは即答。

「って、私ですか?」

「勿論だ。魔神についてすでに知っている君が、魔神を使役するのが一番だと思う」

 他のみんなに目を向けると、当然だという感じの目。

「……わかりました。では私が魔神を使うと言うことで」

 私は意を決して、水晶に触れた。

 水晶が光り輝き、一瞬で一センチ程度の大きさに変化すると、私の胸元にペンダントとして装着された。

 これでラドゥと相対するとき、魔神を召喚できるようになった。

 私たちはこうして、魔神を手に入れた。

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