54話 採取

 三日目の昼下がり、強い突風が吹いた。

 枯れ葉や小枝、軽い金属片等が飛ばされ宙を舞っていく。

 幸い太い木の裏にいたので直接的な被害は受けなかったが、金属片を風力によって叩きつけられていたら少なくとも怪我はしていただろう。


 この星に来てこれほど強い風を観測したのは始めてだ。

 風は確か上昇気流によって発生するんだっけか。

 星のどこかで雨が降って、その後晴れたことによってどこかで生まれた風なのかな。

 天候が変わりやすいという程ではないが、前兆が読み取れないのはやはり危険だ。

 今後突風を感じたら直ぐに身を低くする心構えをしておこう。

 飛んで行った金属片も行方が怪しいな。

 空で停滞したあと突如降り注いでくるなんてことになったら洒落にならん。

 暫くはシェルター周辺の探索に絞った方がいいかもしれない。


 シェルターの方へ向かう途中、今回の探索の目当てのコブコガネを見つけることが出来た。

 目の届く距離に3匹見付かったので、生態観察のために3匹ともシェルターに持ち帰った。

 3匹とも立派なこぶが付いていたので、以前N2がこぶを切り落とした個体とは別の個体だろう。


 動きも体の重さ故か非常にゆっくりなので、逃げ出す心配はないが、また見失うと面倒なので一応ケースに入れておく。

 餌であろう金属片をいくつか入れた時に、1匹のコブコガネのこぶがポロリと取れてしまった。

 特に慌てる様子もなく、少し機敏になったそいつは再び金属片を舐め始めた。

 そんなに簡単に取れてしまうなんて、トカゲのしっぽのように取れても問題のないような作りをしているのだろうか。

 だとしたらこのこぶは餌である金属を摂取し続ける度に生成され、次第に大きくなっていくのでないか。


 木の実を食べさせればもしかしたらこぶの代わりに木の実ができるのではないかとも考えたが、こいつらは頑なに金属しか口にしなかった。

 全くもって不遇な生態をしている。

 まぁこぶの代わりに木の実を実らせたところでどうしようもないが。


 ひとつ気になったことは水だけを与えても口にしなかったのに対し、水をかけた金属は進んで口にしていた。

 

 この差がこぶ生成にどう影響してくるかは分からないが、水あり金属と水無し金属の2パターンを与えて検証してみようと思う。


 それと回収したこぶ、もとい球状の金属を加工する手段を考えないとな。

 となると次は火の確保か。

 さて、どうしたものか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます